DeNA・山本祐大が隠さぬライバル心 高校時代の同期…楽天・石原彪への思い「僕は負けた身」

DeNA・山本祐大(左)と楽天・石原彪【写真:小池義弘】
DeNA・山本祐大(左)と楽天・石原彪【写真:小池義弘】

京都翔英高時代は石原が主将で正捕手、“敗れた”山本は副将で外野手

 3月14、15日に横浜スタジアムで行われたDeNA-楽天のオープン戦。1軍の舞台で再会を果たした山本祐大捕手と石原彪捕手が笑顔で話し込んでいた。2人は京都翔英高時代のチームメートで、石原が主将、山本が副将だった間柄だ。9年のときを経て、互いに捕手としてプロの舞台で奮闘を続けている。

 3年夏に甲子園に出場した際には石原が4番、山本が5番だった。しかし捕手は1つしかないポジションだ。石原が正捕手に君臨し、“敗れた”山本は外野を守っていた。そして石原はドラフト8位で楽天へ。山本は独立L・滋賀を経て2017年ドラフト9位でDeNAに入団した。

 山本は言う。「僕は高校のときに負けた身。彪に負けたくないという気持ちは人一倍強かったかなと思いますし、それは今でも思っています。負けたくないうちの一人なので、ライバルだと思っています」。2023年に頭角を表し、2024年3月には侍ジャパンに選出され、108試合で打率.291と一気に存在感を示しただけに「彪がどこでキッカケを掴んで1軍でいっぱい出るかわからないので、今のうちに引き離しておこうって勢いです」と笑った。

 石原のことは常に気にかけ、試合結果や打席結果もできる限りチェックしているという。普段からも連絡を取り合い、野球の話から世間話までする仲の良い間柄。昨年の交流戦に続いて1軍で顔を合わせ「当たり前のように試合をしていますけど、すごいことだなと思います」と感慨深げだった。

石原は正捕手獲りへ勝負の1年「まずそこなので。昨年以上の成績を」

 一方の石原は山本について「仲いいですよ。あいつすごいですよね。すごいしか言いようがないです。ライバル心はないって言ったらあれだけど、ないんですかね。全部あいつのほうが上です」と謙遜。昨季キャリアハイの68試合に出場し、今季は正捕手獲りへ勝負の1年となるだけに「まずそこなので、僕は。昨年以上の成績を残さないといけない」と言葉に力を込めた。

 一見真逆な思いを持つ2人だが、心は共鳴する。

石原「昨年の交流戦ではお互いスタメンマスクでしたけど、まずはリーグ優勝をして、日本一の戦いで、また最高の舞台で戦えたらなと思います」

山本「しびれる場面でやりたいです。もちろんチームのこともありますけど、一個人として純粋に野球を楽しめる瞬間というか、そういう存在なのは確かなので。日本シリーズでやりたいなと思います」

 京都翔英高野球部の同期たちは徐々に野球を辞め、今もプレーを続けているのは山本と石原だけになった。卒業から9年の時を経て、違う道を進みながら、同じ捕手というポジションでドラフト下位から厳しい世界を生き抜いている。ライバルであり友達。切磋琢磨は続いていく。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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