山崎颯一郎に“断捨離”の勧め 厚澤コーチが説く発想の転換「向上心が成長を邪魔している」

最速160キロの山崎颯一郎…自身のフォームを見失い、続く試行錯誤
悩める選手に断捨離の勧め――オリックスの厚澤和幸1軍投手コーチが、復活を目指す山崎颯一郎投手に技術面での取捨選択の必要性を説いている。「これが通用するのか、通じないのか、僕は野球の断捨離が必要だと思っています」。復活を目指して試行錯誤を繰り返している右腕に、発想の転換を説いている。
2023年に53試合登板でリーグ3連覇を支えた最速160キロ右腕も、昨季は上半身のコンディション不良で7試合登板にとどまり、セーブ、ホールドともに0で終わった。昨年の秋季キャンプでは、体重移動や左腕の使い方などを意識したフォーム修正に着手。夕方まで個別練習に付き合ってくれた岸田護新監督や厚澤コーチらのアドバイスで、フォームを固めたはずだった。
しかし、春季キャンプでの山崎の姿はフォーム修正前に戻ってしまっていた。「フォームやバランス、タイミングが合っている感じがしない」と顔を曇らせ、ブルペンでの球速は伸びないまま実戦に臨んだが、2月17日の紅白戦では茶野篤政外野手に3ランを浴び、2/3回を2安打3失点だった。
オフの間に、様々な動画でフォームを参考にしているうちに、自分のフォームを見失ってしまったのが理由だった。それでも、ネットスローなどで調整を続け、実戦を重ねるたびに状態は上がってきた。
そんな山崎を厚澤コーチは「向上心が成長を邪魔している」と見る。より良いフォームを求め多くの情報を取り入れるが、情報過多で本来の姿を見失ってしまうことを心配しての言葉だ。
「もう上がったり、下がったりするのはやめてほしいですね(笑)。真面目なんですが、(情報を)かみ砕いて体の中で処理していく作業が器用なほうじゃないんです。僕は必要なものを提供しているつもりです。まだまだ、諦めませんけれど(笑)」。愚直に高みを目指してもがく右腕を、温かく見守り手を差し伸べる。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)

