故郷凱旋は実力で…大城滉二の“プライド” 断っていた指揮官の配慮「万全な状態で」

オリックス・大城滉二【写真:小林靖】
オリックス・大城滉二【写真:小林靖】

大城滉二が目指す故郷・沖縄での公式戦出場…今年は7月1、2日に開催

 実力で沖縄に凱旋――。プロ10年目のオリックス・大城滉二内野手が、プロ1年目以来の故郷での公式戦出場を目指している。「それを目標に、怪我なくシーズンを送りたいですね」。短い言葉に決意を込めた。

 大城は興南高で遊撃手として甲子園で2010年春夏連覇を果たした。立大では1年春の途中から定位置をつかむと、通算112安打を放ち同大学の歴代最多安打を記録。2015年ドラフト3位でオリックスに入団した。

 9年前の凱旋試合は、大城にとって忘れられないものだ。2016年にパ・リーグ公式戦として沖縄で54年ぶりに開催された楽天戦で、新人の大城は「1番・中堅」で先発出場。3回1死一、三塁から左犠飛で先制点を挙げ、勝利投手になった西勇輝投手(現阪神)とともにヒーローインタビューを受けてスタンドを沸かせた。

 しかし、昨季は故障が続き、沖縄で開催された5月のロッテ戦は2軍で調整中だった。それでも凱旋のチャンスを、当時の中嶋聡監督が与えてくれた。「自腹なら来てもいいよ」というジョークを交えた指揮官の配慮。開幕前から「4打数4安打、ホームランを打って暴れたいと思います。監督も間違って『4番』とかで僕を使わないですかね」と心を弾ませていた舞台だったが、辞退した。

「中嶋さんは、(球団施設の)舞洲にいても、沖縄にいても同じような練習しているのなら、凱旋の気分を味合わせてやろう、という気持ちだったと思います。でも、万全な状態で行きたかったのです」。大城にとっては、1軍に帯同するのはチームのために戦える選手だけで、調整中の選手が行く場所でなかった。地元出身の選手が姿を見せるだけでファンサービスにつながることを頭では理解しても、プロとしてのプライドが許さなかった。

 前回は8年ぶりの開催だったが、今年は2年連続で沖縄でのカードが決まった。コンディションを整え、7月1、2日の西武戦を万全な状態で迎える。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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