元同僚の最期は「トニっぽいのかな」 忘れない食事会での一言「怖そうだけど繊細な人」

トニ・ブランコ氏と石川雄洋氏は2013、14年とDeNAでともにプレーした
かつて中日、DeNA、オリックスでプレーしたトニ・ブランコ氏が8日(日本時間9日)、母国ドミニカ共和国で事故死した。DeNA時代の2013、14年にともにプレーした石川雄洋氏は、現役時代に何度も食事をともにした仲。若くして主将を務めていたころ、ブランコ氏の言葉に救われていたという。思い出を振り返りつつ、故人を偲んだ。
ブランコ氏は2009年から中日でプレーし、2013年にDeNAに移籍した。中日時代は対戦相手としてブランコ氏を見てきた石川氏は「とにかくバッティングがすごかったので、守っていて怖いイメージがあった」と明かす。
しかしチームメートとなると、それは一変した。「体はめっちゃデカいけど、とにかく優しかった。怖そうに見えるけど、優しいし頼りがいがある。それに繊細な人でした」。外国人選手は自分が打てなくても明るい選手も多いが、ブランコ氏は「打てなかったことを気にしているタイプだった」という。
そんな繊細な主砲に、石川氏は助けられていた。2012年に25歳の若さでDeNAの初代主将に就任したが、チームは低迷期でもあり、年上の選手たちをまとめることにも苦労した。2013年に同僚となったブランコ氏は、食事の席でたびたび「ひとりじゃないから大丈夫だよ」と声をかけてくれたという。守備位置も一塁と二塁で接点は多かった。「大きな存在でした」と噛みしめるように話した。
地元メディアの報道によれば、ナイトクラブで起きた天井崩落事故に巻き込まれて命を落としたが、このときブランコ氏は天井の一部が崩れ落ちそうになっていることに気づき、トイレから席へ戻ろうとした元西武のエステバン・ヘルマン氏を突き飛ばし、ヘルマン氏は助かったという。
「人を助けて巻き込まれたというニュースを見ました。それもトニっぽいのかな。優しいし男気がある。それはすごく思いました。でも本当にビックリしたし本当に悲しいですよね……」。思いもよらなかった、仲間の早すぎる死。石川氏は優しい表情で、ブランコ氏に思いを馳せた。
(町田利衣 / Rie Machida)