九里亜蓮の胸に響いた「完璧を求め過ぎず」 飛躍に繋がった黒田博樹氏の“金言”

オリックス・九里亜蓮【写真:小林靖】
オリックス・九里亜蓮【写真:小林靖】

苦しんだ広島入団2年目…黒田博樹氏の助言が飛躍のきっかけになった

 レジェンドの一言が、1人の投手を大きく飛躍させた。オリックスの九里亜蓮投手は広島時代、日米通算203勝を挙げた黒田博樹氏のアドバイスをきっかけに才能を開花させた。

「『完璧を求め過ぎず、1年間安定して投げるピッチャーが、一番信頼を勝ち取るピッチャーだから』という言葉をいただいた方です。すごく感謝しています」。約10年前の出来事を、右腕が懐かしそうに振り返った。

 九里は鳥取県出身。岡山理大付、亜大を経て2013年ドラフト2位で広島に入団し、メジャーから古巣の広島に復帰した黒田氏とは2015、2016年の2年間を一緒に過ごした。黒田氏からのアドバイスは、その期間だった。九里は1年目に20登板(16先発)で2勝(5敗)を挙げたが、2年目は7登板(1先発)にとどまっていた。

「絶対、ゼロで抑えなくてはいけないというか、変に完璧を求め過ぎていた僕の姿を見て、言っておいてあげた方がいいな、と思ってくださったのだと思います」と九里。ヤンキースをフリーエージェント(FA)となった後、メジャー球団の大型オファーを蹴って復帰した黒田氏には、九里に将来のカープ投手陣を引っ張ってほしいという思いもあったのだろう。

 3年目は27登板(10先発)で2勝2敗。ロングリリーフもこなし、25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。2017年も35登板(13先発)で9勝5敗2ホールドを挙げた。翌年から3年連続で8勝をマーク。先発専念2年目の2021年には13勝で最多勝に輝くなど、広島投手陣を支えた。

 九里が今季目指すのはチームの勝利に貢献することと、200イニング登板だ。「まだまだ、野球がヘタクソ。もっとレベルアップしたいと思っています」。完璧を求めず、1人ずつアウトを取ることを信条にマウンドに上がる。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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