巨人剛腕に「圧倒されました」 オリのドラ1・麦谷祐介が忘れぬ屈辱…浴びたプロの洗礼

オリックス・麦谷祐介【写真:栗木一考】
オリックス・麦谷祐介【写真:栗木一考】

麦谷祐介が巨人のOP戦での経験を振り返った

 屈辱をバネに飛躍する。オリックスのドラフト1位新人、麦谷祐介外野手(富士大)が、オープン戦で3球三振を喫した巨人の助っ人クローザーに、感謝の思いを抱いてバットを振り込んでいる。

「ナメられた、と感じましたね。でも、この打席があったから、今があると思えるように練習しました。ありがとうという思い。感謝しかありません」。いつも爽やかな笑顔を絶やさない麦谷が、真剣な表情で振り返った。

 振り返ったのは3月8日、本拠地・京セラドームで行われた巨人とのオープン戦だった。「2番・中堅」でオープン戦に初出場。3回にフォスター・グリフィン投手から左前打して初安打を記録したが、3打席目はカイル・ケラー投手に3球ストレートの後、4球目の118㌔のカーブに空振り三振。8回の第4打席は、大勢投手から代わったライデル・マルティネス投手に2球空振りの後、内角高めのつり球に空振り三振を喫した。3球すべて152㌔のストレート。新人に対して変化球でかわすことなく、真っ向勝負してくるプロの矜持を感じた瞬間だった。

「圧倒されました。でも、プロとはこういう世界だぞと、あれだけ実績のある選手が教えてくれた思いがしました」。マルティネスは中日時代の2022年に4勝3敗39セーブ5ホールド、防御率0.97で最多セーブのタイトルを獲得した剛腕。真剣勝負に完敗した屈辱感の中で、麦谷にとってはプロとして生きていく道を探るいい機会になった。

 トッププロに圧倒的な力の差を見せつけられ、麦谷の闘争心に火が付いたのはいうまでもない。3球三振から2日後の中日戦(バンテリン)では、開幕投手に指名されていた高橋宏斗投手から2本の二塁打を放ってアピール。俊足、強肩も評価され、目標としていた開幕1軍をつかんだ。

 チームは開幕から打撃好調で、外野手の定位置争いも激しく先発起用の機会は限られているが、守備固めから入った4月10日のソフトバンク戦(京セラドーム)では延長10回2死二塁に野村勇内野手の中前打で二塁走者を本塁送球で刺すなど、守りでもチームに貢献している。

 「自分が今までやってきたことが、どれだけ通用するのか、楽しみでしかありません。多分、うまくいかないことの方が多いと思うのですが、一喜一憂せずに、これからもアグレッシブにやっていきたいと思います」。悔しさを忘れることなく、前を見据える。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY