「真逆のことをやっています」 リーグ2位の数値…中川圭太が追求した新たな“打撃理論”

オリックス・中川圭太【写真:栗木一考】
オリックス・中川圭太【写真:栗木一考】

リハビリ期間中にたどり着いた新たな“打撃理論”

 オリックスの中川圭太内野手が、自然体で打撃の進化を楽しんでいる。

「いろいろ、試しながらやっています。もっといいものがあるんじゃないか、この組み合わせをしたらどうなるんだろうとか。毎日、微調整って感じです」。中川が日々の進化を楽しむかのように笑顔を見せた。

 中川はPL学園、東洋大から2018年ドラフト7位で入団。左右に打ち分ける巧みなバットコントロールには定評がある。チャンスにも強く、当時の中嶋聡前監督から“無敵の中川”という異名をもらったこともある。

 7年目にたどり着いた打撃は、自然な体の動きを重視したものだった。「野球を始めてからずっと、打席の中でどの方向に打とうと決めて、うまくコンタクトしていく感覚でやっていました。こういう打球を打ちたいから、こういう体の使い方をするという考え。今は、こういう体の使い方をすれば、こういうスイングができて、こういう打球が打てたという感じですね」と語ったのは、2025年1月の自主トレ期間中のことだ。

 怪我で2度も戦線離脱をした2024年シーズンだったが、リハビリ期間中にたどり着いたのが、「根本のところから真逆のことをやっています」という、新たな“打撃理論”だったというわけだ。

 本格的な取り組みは、オフの秋季キャンプから始まり、自主トレ、今春のキャンプでも継続。17日時点で、打点はリーグ2位の23打点と着実に新打法の成果が表れている。

 体の反応で打つため、体勢を崩されていなくても右手を途中でバットから離し、左手だけで振り切って強烈な打球がファウルになることも多い。惜しい打球に見えるが、「フェアゾーンにいっていないだけですけど、あれを中(フェアゾーン)に入れようとすると、また振り出しに戻ってしまうと思うんです。そのまま続けて、フェアゾーンに勝手にいけばいいかな、という感覚です。無理に修正はしません」。

 打点の多さにも「ホームランを(たくさん)打てるバッターじゃないんで、そこは気にしていません。たまたま、ヒットが出ているのが得点圏という感じですね」。大きな故障につながらないよう、出場を見合わた試合もあったが心技体は充実。ブレずに初心を貫く。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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