怪我で離脱も…山下舜平大が忘れぬ信条「やり続けるだけ」 刺激を受ける“金メダリスト”

オリックス・山下舜平大【写真:小林靖】
オリックス・山下舜平大【写真:小林靖】

復帰に向け、リハビリを続ける山下舜平大が影響を受ける身近な先輩

 オリックスの山下舜平大投手が、パラリンピックのバドミントンで2大会連続金メダルを獲得した少年野球の先輩、梶原大暉さんに刺激を受けリハビリを続けている。

 福岡市出身の2人は、筑紫丘ファイターズで約3年間、一緒にプレーした。山下にとって1学年上の梶原さんは、最も身近な先輩。「小学校の間、ずっと一緒にやってきました。一つ上の先輩は2人しかいなかったんで、距離は近く優しい先輩でした」と振り返る。

 梶原さんは、「投手のほか捕手、内野を守れ、何でもできる万能選手で、少年野球のスター」(山下)だった。中学進学後、梶原さんは別のクラブチームに所属したため一緒に野球をすることはなくなったが、しばらくして悲しい知らせを山下は耳にすることになる。

 中2の梶原さんは、チームの練習に自転車で向かう途中、交通事故にあい右膝から下を失ってしまった。梶原さんは福翔高に進学後、バトミントンに出会い、日体大、ダイハツで競技を続けて東京、パリの両パラリンピックで金メダルを獲得した。

 プロ入り後、出会うのはチームのOB会だが、山下が新人王を獲得した時にはLINEでお祝いメッセージを送ってくれたり、不調時には相談に乗ってくれたりもした。「うまくいかない時には、練習をやり続けるだけ。できるようになるまでやればできる」とのアドバイスは、山下の信条にもなっている。

 怪我をしてからの梶原さんについて、山下は「とんでもなく苦しい思いをされたと思いますが、人間性が素晴らしいのです。元々、怖い人ではなかったんですが、人に対して優しいんです。自分にはその厳しさは分かりませんが、すごい人間力だと思います」と語る。

 今、山下は大阪・舞洲の球団施設でリハビリを続けている。腰痛に何度も苦しめられているが、体幹トレーニングなどで他の部位を鍛え腰の負担を補っている。

 5月13日から軽いキャッチボールを始め、復帰へのスタートを切った。「痛みはありません。これから負荷をかけて状態を上げていきます。チームはCS(クライマックスシリーズ)や日本シリーズは狙えると思いますから、できるだけ早く復帰してそこに繋げていけるようなピッチングがしたいですね」。明るい表情も戻った。焦らず、豪速球を投げ込む日を待つ。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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