育成2年目の芦田丈飛が掲げる“課題” 2軍監督がゲキ…支配下へ求められるモノ

育成2年目右腕、芦田丈飛が支配下登録に向けて奮闘中
「次の登板では、技術的なことより、打者に向かっていく気持ちを前面に出して結果を出したいと思います」。16日のウエスタン・リーグ、広島戦(杉本商事Bs舞洲)で今季2勝目を挙げた芦田丈飛投手が、喜びも見せず表情を引き締めた。
芦田は英和高(千葉)、国士舘大、社会人オールフロンティアを経て独立リーグ、ルートインBCの埼玉武蔵ヒートベアーズに入団。2023年に最速152キロのストレートと鋭く落ちる変化球を武器に抑えとして南地区リーグ優勝に貢献し、同年育成ドラフト4位で入団した。
1年目の5月中旬から先発でも起用されるようになり、18試合で1勝2敗、防御率3.66。オフに参加した台湾ウインター・リーグで、平井正史2軍投手コーチのアドバイスで取り入れたカーブが有効に決まり、投球の幅が広がった。
今季は、開幕から先発ローテーション入りし、4月に登板した4試合のうち3試合で5回以上を投げ、安定した投球を見せた。4月30日のハヤテ戦(杉本商事Bs舞洲)では、初めて7回のマウンドに立ち103球を投じ、8安打4奪三振1四球1失点。6回と100球の“壁”をクリアし、支配下入りをアピールした。
しかし、次戦の中日戦(ナゴヤ)では3回3失点で降板。5月16日の広島戦は支配下入り再挑戦のマウンドだった。6回を92球、8安打2奪三振3四死球2失点と先発の責任を果たした。
それでも芦田の表情が晴れなかったのは、首脳陣から「打者に向かっていく姿勢が感じられないイニングがあった」という指摘を受けたからだった。ポーカーフェイスで、マウンドで喜怒哀楽を出すことの少ない芦田だが、指摘には思い当たる節があった。
「先発に慣れてきて、先(のイニング)をみて、きれいに投げようとしている自分がいました。緩んでいるつもりはないのですが、打者に向かっていく荒々しさが薄くなったように感じます。次は中継ぎの気持ちで1イニング、1イニングを必死で投げようと思います」
支配下入りに手が届くところまでくるほど投球内容も成長したが、逆に荒々しさが少なくなってしまったという。「去年は自分の中で必死だったこともあり、全球種が勝負球みたいな感じだったんです。今はボールが操れるようになり、コントロールもよくなって荒削りの部分が少なくなったと思います」。
16日の試合後、波留敏夫2軍監督からは「お前に足りないのは、気合だ」と活を入れられた。「求められているのはそこ(1軍)なんで。指摘された方が改善できますから、ありがたい言葉でした」と芦田。支配下を勝ち取る投球を披露できるよう、気持ちを引き締めて次戦に臨む。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)
