2年目197cm大砲「早く1軍に」 “脱・万波”で衝撃.750…躍動ドラ2に刺激

西武・村田、右方向への強い打球を意識
西武・村田怜音内野手が20日、カーミニークで行われたイースタン・リーグのロッテ戦に「4番・一塁」で出場。右方向へ2安打して3-1の勝利に貢献した。ルーキーだった昨年は5月にプロ初安打も守備中に靱帯損傷の重傷を負い長期離脱。復活した今季は1軍定着を目指して2軍でアピールを続けている。
まずは2回の第1打席。簡単に0-2と追い込まれたが、3球目の146キロ外角直球を逆らわずにライナーで右前に運んだ。強振せず、軽打の形でも鋭い当たりを披露。第2打席は強い当たりの遊ゴロ、第3打席は右飛に倒れたが、8回2死二塁の第4打席は右越え二塁打でチームの3点目を叩き出した。
197センチ、112キロと恵まれた体格を持つ右の和製大砲候補。辻竜太郎2軍野手コーチと右方向へ強い打球を打つ練習に取り組んでいる。「練習では意識してやっているので、試合でも自然に逆方向に飛んでいるんだと思います」。ドジャース・大谷翔平投手のように、逆方向へもスタンドに放り込めるのが真の長距離砲。村田がこの日4打席中3打席で右方向へ打球を飛ばしたのは、長距離砲として“覚醒”するための大事なステップなのである。
2023年にドラフト6位指名を受け、三重・伊勢市の皇学館大から初のプロ入り。昨年5月11日には1軍初昇格を果たした。同日の楽天戦(ベルーナドーム)で「6番・指名打者」でスタメン出場して1軍デビューを飾り、初打席で内星龍投手からレフト前へプロ初安打。同14日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では、初のマルチヒットと初打点を記録し、順調なスタートを切った。
ところが、翌15日の同カードでの一塁の守備中、ファウルフライを追って一塁側のネットに激突。左膝後十字靭帯損傷で全治3か月と診断され、長期離脱を余儀なくされた。9月23日にイースタン・リーグで実戦復帰。2軍では18試合に出場して打率.357(56打数20安打)、2本塁打、13打点をマークした。
重傷負った左膝「野球のプレーは全く問題ない」
今年はキャンプ1軍スタート。オープン戦で打率.308とまずまずの結果を残したが、持ち味の長打は二塁打1本だけで開幕から2軍暮らしが続く。「ポジションの兼ね合いもあるし、自分は長打力やホームランを求められる人材。まず2軍でしっかりそれを打たないと上がれない」と自らに課せられた役割は理解している。
そんな中、打撃フォームは試行錯誤している。2週間ほど前、構えた際に日本ハム・万波中正外野手のようにバットを寝かせてヘッドが投手向きになるフォームに変更。当初は調子が上向いたが「どんどん間が取れなくなって、体が開いて変化球に空振りばかりになった」という。そこで前回18日のDeNA戦(カーミニーク)で以前のようにバットのグリップの位置を右胸近辺にしてヘッドを立てて構えると「間が作れるようになった」と4打数4安打1四球2打点をマークした。
ここまで2軍で160打数44安打で打率.275、2本塁打、15打点も、打撃フォームを戻してからの2試合は8打数6安打の打率.750と一気に調子を上げてきた。左膝の状態も「野球のプレーは全く問題ない。私生活では正座ができないとか、片足だけで深い屈伸が難しかったりしますけど、走攻守どれも問題なくやれています」と不安がないことを強調する。
1軍でブレーク中のドラフト2位ルーキー、渡部聖弥外野手の存在も励みになっている。「聖弥とはキャンプから仲良くやってきたし、活躍しているのは刺激になります」。1学年先輩として、当然負けられない。「今年は配球をしっかり読みながら打席に入れているし、心の面も成長できている。どんどん自信はついてきてます。(1軍への思いは)常に持っています。早く上(1軍)に行きたい気持ちはあります」。開花は目前。その打棒を1軍で披露する日は、確実に近づいている。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
