2軍打率4割も戦力外…こぼれた悔し涙 古巣“凱旋”で思わぬ光景「去年まではなかった…」

オープン戦期間中に西口監督からアドバイスを受け、打撃フォーム固めへ
西武の仲田慶介内野手は、ソフトバンクで育成14位入団から這い上がり、3年目の昨年に支配下登録を勝ち取った。ウエスタン・リーグで驚異の打率.403をマークし、1軍デビューも果たしたが、シーズン終了後に待っていたのは、まさかの戦力外通告だった。西武に新天地を求め育成契約から再出発した今季、3月25日に支配下登録され、開幕1軍メンバーにも選ばれた。今は“その上”のレギュラーを目指し、奮闘を続けている。
スイッチヒッターで、内外野どこでも守れる。「右打席でも左打席でも、内野でも外野でも、というオールマイティなところが自分の持ち味。それぞれのレベルを上げていきたいです」と力を込める。
キャンプ、オープン戦で存在をアピールし、支配下登録と開幕1軍を勝ち取った。背番号は当初の「140」から「00」に。ただ、今のところ1軍での出場機会は決して多くない。16試合に出場し11打数無安打1犠打(22日現在)で、代走、守備固めとしての起用が多い。
「入団した時から、開幕までに支配下選手になることを目標にしていたので、まず達成できてよかった。ただ、打撃で思うような結果を残せず、ちょっと悔しい日々が続いています」と吐露。「オープン戦期間中、(西口文也)監督から『そんなに足を高く上げない方が打てるのではないか』とアドバイスしていただいて、そこから自分で試行錯誤しています」と明かす。
特に左打席の時に、右足を高く上げてタイミングを取っていたが、少し下げた。「これまでは自然な形で打っていただけで、足の上げ方について深く考えたことがありませんでした。初めて考えるようになって、なかなか思うようにいきませんが、徐々に『これで行こう』という形が固まってきました」と手応えをつかみつつある。

4月4日に古巣と初対戦、ギータからもらった金言
福岡大大濠高、福岡大を経て、2021年育成ドラフト14位でソフトバンク入り。3年目の昨年、ついに支配下登録と開幕1軍を勝ち取った。1軍では24試合出場、打率.214(14打数3安打)に終わったが、ウエスタン・リーグで打率.403(77打数31安打)、出塁率.466、1本塁打11打点の猛打を振るった。守ってはウエスタンで二塁、遊撃、外野、1軍では三塁にも就いた。
野球人生の視界が開けたかに思えた。翌年はもっとやれる自信もあった。ところが、ソフトバンクの分厚い選手層に割って入ることができず、戦力外通告。悔し涙を流した。育成選手に戻って残留する選択肢も示されたが、「戦力外通告を受けてからすぐに、ライオンズから『ウチでやらないか』と声をかけていただいて、新たな気持ちでやり直したいと思いました」という。
そんな仲田にとって、万感胸に迫る出来事があった。4月4日、みずほPayPayドーム福岡で古巣・ソフトバンクと今季初対戦。「去年はホームだった球場がビジターになり、チームメートだった人たちが対戦相手。ちょっと変な感じがありました」という試合で、5回に代走として起用され、そのまま二塁の守備に就き、7回2死一塁の場面で打席に向かった。
「打席に入る時、球場全体から拍手が聞こえてきました。(ソフトバンク時代の)去年までは、ヒットを打った時はともかく、打席に入る前にあれほど拍手をいただいたことはなかったので……ありがたかったです」。敵地となった出身地・福岡のファンからも温かい声援を送られ、胸が詰まった。
この福岡遠征中、先輩のソフトバンク・柳田悠岐外野手に、打撃フォームで試行錯誤していることを打ち明け、「自分の芯となる部分を持っておいて、自分のスタイルをしっかり貫いた方がいい」と励まされたという。
「走攻守で活躍したい。今は後先を考えず、目の前の試合に全力を注ぎたいと思っています」。やり抜く意志は揺らがない。打撃では自分のフォームを確立するため、人一倍バットを振り続ける。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
