寺西成騎がプロ初先発で得た“収穫” 背中を押した高島の助言「もったいない」

寺西成騎が日本ハム戦でプロ初先発を果たし3回無失点
子どものころからの夢が叶った。オリックス・ドラフト2位の寺西成騎投手がプロ初登板を果たし、憧れていた同郷の松井秀喜さんと同じプロとしてのスタートを切った。
「楽しかったですね。声援もそうですが、プロ野球選手になって1軍で投げることを目標にやってきて、夢を見ていた舞台で投げられたんですから」。プロ初登板から2日後、寺西が大阪・舞洲の球団施設で声を弾ませた。
寺西は星稜高、日体大から2024年ドラフト2位で入団した右腕。石川県根上町(現能美市)出身で、松井さんの小中高の後輩にあたる。直球を主体にスライダー、フォーク、カットボールの緩急で打たせて取る技巧派だ。
ウエスタン・リーグで7試合に先発し、防御率2.86と結果を残したことで、11日に1軍合流。1軍選手登録をされた15日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で、プロ初登板を初先発で経験した。
日本ハム戦の初回、コントロールが定まらず2者連続四球でピンチを迎えたが、「ゾーンに投げてこい」という若月健矢捕手の言葉を信じてピンチを断った。「若月さんのミットだけを目がけて投げました」と寺西。敵地での首位攻防戦という重圧にも耐え、3回を46球、被安打2、1奪三振、2与四球、無失点と上々のデビューだった。
チーム事情もあり登板翌日に登録抹消されたが、収穫は大きかったという。「結局、自分の投球をするだけだということが分かりました。1軍のマウンドで、今までやっていなかったことをやろうとしてもうまくいきません。こっち(2軍)でも1軍を想定した投球をすることの大切さを知りました」と寺西。2年目で2勝を挙げている高島泰都投手の「1軍初登板を大切にしてほしい。そこで緊張して何もできなかった、というのじゃもったいない。ファームでも勉強はできるが、1軍のマウンドでしっかりと感じてほしい」というアドバイスも生きたという。
「プロとしてスタートラインに立てました。もっと長いイニングを任されるためには信頼を得ることが必要。ファームで結果を出して、呼んでもらえるように走っていきたい」。明確になった目標に向けて、目を輝かせた。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)
