突然の人的補償、楽天移籍で初安打&初HR 小森航大郎を奮い立たせた開幕直後の“屈辱”

開幕1軍入りも3試合中2試合ベンチ外で抹消「すごく悔しい思いをしました」
楽天の小森航大郎内野手は、FA移籍した茂木栄五郎内野手の人的補償として今季から加入した。プロ入りから3年間を過ごしたヤクルト時代の1軍出場は昨季の4試合のみで打率は.000(5打数無安打)だったが、新天地ではすでに21試合に出場し、プロ初安打や初本塁打もマーク。突如訪れた移籍の知らせを前向きにしてくれたのは、内川聖一氏の言葉だった。
高卒3年目だった昨季、イースタン・リーグで24盗塁をマークして盗塁王を獲得。9月には1軍昇格を果たした。順調にステップアップして、2025年を勝負の年と位置付けていた。そんな矢先の1月8日、移籍が発表された。
「初めは『ああ……』って思ったんですけど、そのとき自主トレで内川(聖一)さんと一緒にいて『選んでもらったんだから胸を張って行ってきていいんだぞ』と言ってもらいました。その言葉で『ああそうだな、頑張ろう』と切り替えていくことができました」
キャンプ途中で1軍に“昇格”すると、アピールを続けて開幕1軍入りを果たした。3月28日のオリックスとの開幕戦(京セラドーム)こそ代走で出場したが、その後2試合はベンチを外れて31日に出場選手登録抹消となり「すごく悔しい思いをしました」と唇を噛む。4月17日に再び1軍から声が掛かると、同日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)でプロ初安打。27日のソフトバンク戦(楽天モバイルパーク)ではプロ初本塁打まで放ってみせた。
小森は誓う。「もう(2軍に)落ちることがないように、しっかり1試合1試合全力でやりたいと思います」。スタメン起用が増えているが、打率.204(49打数10安打)と課題も残す。発展途上の若武者は「今の自分は相当充実しています。でもやらせてもらっている感じはまだあって、監督も辛抱強く使ってくださっていると思う。そこを今度は自分の力でチームを助けられるようしたい」と先を見据えた。
クリムゾンレッドのユニホームに身を包み「先輩と関わりやすい球団だなって思います。ご飯に連れて行ってもらったり、いろいろな先輩にかわいがってもらっていて楽しいです」とうれしそうに笑う。移籍で掴んだキッカケを飛躍の1年につなげるために、22歳は新天地で走り続ける。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)
