「俺、北海道の人に愛されているな」 退団から4年も…西川遥輝が交流戦で感じた“貢献”

ヤクルト・西川遥輝【写真提供:産経新聞社】
ヤクルト・西川遥輝【写真提供:産経新聞社】

2021年限りでプロ入りから11年間過ごした日本ハムを自由契約となった

「代打・西川」のコールに、エスコンフィールドは割れんばかりの大歓声に包まれた。三塁側のヤクルトファンだけではない。日本ハムファンも温かい拍手を送る。6月10~12日の交流戦。その盛り上がりぶりは、ヤクルトの西川遥輝外野手が今なお北海道で高い人気を誇ることを表していた。

 ビジター練習中にも、スタンドでは西川のタオルやボードを持つファンが目立った。日本ハム入団時から4年間背負った「26」のユニホームを着ているファンもいた。10日の初戦は0-2の8回無死から代打で登場して四球を選び生還するという“らしい”働き。第2戦は出番がなく、12日の第3戦は9回1死から代打で見逃し三振に倒れた。

 2021年限りで退団し、もう4年目となる。エスコンフィールドは2023年に開業したためホームとしてプレーしたことはないが、“古巣の本拠地”で過ごした3日間を終え、率直な思いを口にした。

「オープン戦のときもそうでしたけど、うれしいですよね。俺、北海道の人に愛されているんだなって。ってことは、北海道に貢献できていたのかなって思います」

2016年は日本Sでサヨナラ満塁本塁打…10年ぶり日本一の立役者に

 2010年ドラフト2位で日本ハムに入団し、盗塁王4度、ベストナイン2度、4年連続ゴールデングラブ賞と球界を代表する選手へと成長を遂げた。2016年の日本シリーズではサヨナラ満塁本塁打を放つなど10年ぶり日本一の立役者となった。しかし2021年限りでノンテンダーFAとなり、楽天を経て2024年にヤクルトに加入した。

 2021年の西川は130試合に出場したバリバリの主力。打率.233、3本塁打、35打点、24盗塁で最多盗塁のタイトルを獲得しながらの自由契約は当時、波紋を呼んだ。「あの頃は“なにくそ”って思いを持っていたりしたけど、今はない。大人になったんですよ」と爽やかに笑い、「感謝の思いを持って対戦できました」と噛みしめるように言った。

 3球団を渡り歩いたプロ野球人生は15年目。33歳とベテランの域に差し掛かりベンチを温めることも増えたが、その技術と経験、また練習に対する姿勢は若手のお手本だ。今ではリーグも違うため、1軍の公式戦で古巣と対戦できるのも当たり前にあることではないと実感している。土台を築いた日本ハムでの11年間に思いを巡らせ、再び前に進む。西川にとって、そんな力をもらった3日間となった。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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