鷹モイネロが戸惑った“日本の文化” 1時間後の移動にも苦労「誰もが経験すること」

モイネロが野球を始めたきっかけは「みかんを投げる遊び」
今季11試合に先発し、6勝0敗、防御率1.26(14日時点)と圧巻の成績を残しているソフトバンクのリバン・モイネロ投手。2017年に入団以降、チームに欠かせない存在になっているキューバ出身左腕のルーツに迫った。
――今季ここまで好調をキープしていますが、手応えはいかがでしょうか?
「春季キャンプから、自分なりに良い準備ができていたと思いますし、それが結果として出ていると思います。今は順調にシーズンを過ごせているので、できる限りこのコンディションをキープしていきたいです」
――来日前のお話を伺いたいと思います。野球を始めたきっかけは?
「キューバのなかでも、野球道具が揃っていない環境で育ったので、幼い頃は、石をめがけてみかんを投げる遊びをしていたんです。その姿をちょうど野球のコーチが見ていて、私を野球場へ連れて行ってくれたことがきっかけでした。彼はもう亡くなってしまったのですが、私がみかんを投げている姿を見て野球の才能があると気づいたようで、最初は一塁手として本格的に野球を始めました。そこから、外野手をやりながらピッチャーとしてもプレーして、当時のキューバ代表セレクションでピッチャーの人数が一番少なかったので、結果ピッチャーになりました」
――その後のキャリアも教えていただけますか?
「その後は、山あり谷ありです。19歳か20歳でキューバ代表に初めて招集された時はひどい成績でした……。ただ、その経験のおかげでさらに成長できたと思っています。短い期間でしたが、とても良い経験を積むことができました」
――日本以外にも、さまざまな国でプレーする選択肢があったのではないかと思います。
「キューバでも、僕を求めるチームはあったと思いますが、私は、WBCや五輪でキューバ代表と戦う日本代表の姿を見て育ってきたので、日本でプレーする機会を与えてくれたチームにはとても感謝しています」
――ここまで8年間日本でプレーして感じた、日本の野球とラテンアメリカの野球の違いを教えてください。
「日本は、チームへの帰属意識が強いと思います。技術的な部分で言うと、日本の投手はコントロールが良いことに加えて、スピードもあります。そして、日本の打者は、ラテンアメリカと比較して、パワーがあるわけではありませんが、コンタクトがとても優れていて、配球を読んでバットを振ってきますね」
――どのように適応しましたか?
「自分からいろいろな選手や当時の通訳と積極的にコミュニケーションを取るようにしていました。あとは、試合映像を繰り返し見ていましたね。自分が投げた試合のなかでも、内容が良くなかった試合を何度も見て、オフシーズンにキューバに帰った時に、そこで見えた課題を踏まえて練習していました」
――文化の違いにも苦労したのではないでしょうか?
「ラテンアメリカの選手が日本に来た時に、誰もが経験することだと思うのですが、“規律を守る”ことに苦労しました。ラテンアメリカの人は、時間をきっちり守ることに慣れていないので、まずは、時間を守ることに慣れるよう努めました。はじめは、1時間後に出発するバスに合わせて準備をすることも大変でした」
来日9年目の今季、左腕が掲げる目標
――今のパ・リーグ、そしてソフトバンクホークスをどう見ていますか?
「まず、パ・リーグの打者はよく打ちますし、良い投手もたくさんいるので、とてもレベルが高いと感じています。ホークスについては、この8年間、常に良い成績を残していて、素晴らしいチームですし、何より雰囲気が良いです。選手のとても明るい雰囲気は、きっとファンの皆さんにもプレーで伝わっていると思います」
――現在、パ・リーグの試合はラテンアメリカ、台湾、韓国、カナダ、アメリカで放映されているので、世界のいろいろなところからソフトバンクホークスの試合、そしてモイネロ投手の活躍を見ることができますね。
「とても素晴らしいことだと思います。MLBのように、NPBがさまざまな地域に広がっていくことにつながり、世界中で野球をプレーする多くの人の選択肢のなかに、“日本の野球”が加わると思います」
――あらためて、今季の目標を教えていただけますか?
「まずは、チャンピオンに返り咲くこと。個人としてはタイトルを獲得すること、そして勝ち続けることです」
――最後に、パ・リーグファンへメッセージをお願いします。
「日本の野球ファンのみなさんは、いつもマナーが素晴らしく、応援はとてもエネルギッシュです。いつも応援ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします」
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)