「正直、3年で戦力外かとは」 活躍直後に予期せぬ通告…22歳が漏らした“本音”

西武の22歳、仲三河が目指す支配下復帰
再び2桁の背番号を目指し、日々汗を流している。西武の育成・仲三河優太外野手が好調だ。5月29日、イースタン・リーグのオイシックス戦では、育成選手初となるサイクル安打を達成し4打数4安打7打点と大活躍。支配下復帰に向け、猛アピールを続けている。
中学時代は野球日本代表「侍ジャパン」U-15で投手として活躍。大阪桐蔭高入団の際は、将来のエース候補として期待されたが、1年夏から右肩痛に悩まされ、外野手に転向した。怪我やコロナ禍も重なり、悔いが残る高校生活を送ったが、西武が持ち前の打撃能力を評価。2020年ドラフト7位でプロ入りを果たした。
入団3年目の2023年は主に3軍での出場だった。ただ、秋に行われた教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」では3本塁打を放ちチームの優勝に貢献した。手ごたえを掴み始めた矢先に、チームから告げられたのは、戦力外だった。
「正直『3年で戦力外か』とは思いました。でも、球団の方が決めたことだから仕方ない。『一度、3軍で鍛え直してきなさい』ということかなと思いました。育成になっても、自分のプレースタイルは変わらないし、1軍で活躍するという目標も変わらない。すぐに気持ちを切り替えました」
背番号が3桁になった2024年は2軍での出場が19試合にとどまり、打率.156、2本塁打に終わった。一方で、今年はすでに2軍で8本塁打。試合に出続けることで、好調を維持することができているという。
「去年までは主に3軍の試合に出ていて、たまに2軍の試合に出ると、急にレベルが上がって壁を感じてしまいました。3軍と2軍では、同じスピードでも球のキレが全然違って、打ち返せなかった。今は毎日試合に出て課題に取り組めている。試合が続くことが5年目にして初めてで、疲れもあるんですけど、体と相談しながらやっています」
辻コーチからの助言…去年から「バット1本で」
辻竜太郎2軍野手コーチから、試合に臨むメンタル面の指導を受けたことも大きく影響している。「データを活用して何を選択して打つのか考え、しっかり準備をして、相手より優位に立っていると思って打席に入れています」。守備の準備も欠かさないが、求められているのは打撃。自らの長所をしっかり伸ばそうと意識するようになった。
「去年くらいから『バット1本で頑張ろう』と思うようになりました。自分の長所を伸ばしたいと思って3軍でもやってきた。中途半端にやっていたら、この世界は無理だと思う。何か1個、自分はそれがバッティングです。『それしかない』と思うんじゃなくて『それがある』と思ってやっています」
今季、同学年の長谷川信哉外野手、渡部聖弥外野手、山村崇嘉内野手らが1軍で活躍している。さらに、同じ守備位置のモンテル外野手が5月7日に支配下選手契約になったが、焦りはない。
「ライバル意識は持っていなくて『一緒に試合に出たい』っていう気持ちが強いです。モンテルさんが支配下になったときは嬉しかったですし、自分とはタイプが違う。7月31日まで、まだチャンスはある。支配下に復帰して1軍で、自分の与えられた打順で結果が残せるバッターになりたい。最終的にはホームラン王を取りたいです」
一度は戦力外を通告された22歳。西武を担う大砲になるために、もう一度必ず這い上がる。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)
