中日に電撃移籍→今季1軍初出場…指揮官が期待する“効果” 28歳が秘めた能力「うちにないもの」

中日・佐藤龍世に井上監督「うちにないものも持っている」
■オリックス 5ー3 中日(17日・バンテリンドーム)
名古屋に“新しい風”が吹く。中日・佐藤龍世内野手が17日、本拠地でのオリックス戦に「5番・三塁」で移籍後即スタメン出場を果たした。試合は3-5で敗れたが、2打数1安打1打点を記録した。試合開始3時間半前には“ドタバタ”で入団会見が行われ、同席した井上一樹監督が「うちにないものも持っていると思う」と話すなど、大きな期待が寄せられた。
佐藤は2018年ドラフト7位で西武に入団し、2021年にトレードで日本ハムに移籍も、2022年オフにトレードで再び西武に戻るなど、今回で3度目の移籍となった“ジャーニーマン”。「一昨日(移籍と)言われて、昨日移動して、今日スタメンで心臓が持たないというか、何個あっても持たないよと思いました」と吐露するほど激動の3日間だった。
初回からチャンスは回ってきた。1死満塁の場面で打席を迎えると、5球目を振り抜いた。打球は高く舞い上がり、後退する中堅手の元へ吸い込まれ犠飛に。第1打席できっちり役目を果たし、初打点をマーク。本拠地からは大歓声が贈られた。
「緊張しましたね。昨年ぶりの1軍の打席だったので……。久しぶりにブルブル身震いするような打席でした。守備の時も1回~9回まで緊張していました」。試合後には安堵の表情があった。
井上監督は「ご存じの通り、怪我人が続出している。(選手獲得を)模索していた」と獲得の経緯を話し、「三塁手がうちのチームの課題。思い切りのいい野球小僧という面々を持っていることを聞いた。うちにないものも持っていると思う」とチームの課題を埋める役割として期待を寄せていた。
今季は1軍出場がここまでゼロだったが、2軍ではイースタン・リーグ首位打者。8回の第4打席では反撃の狼煙を上げる右翼線への二塁打を放つなど、自慢の打棒が光った。躍動した“初日”には指揮官も称賛。「新しい風として来たわけだから。仕事ぶりはいいものを見せてくれたかなと思います」と頷いた。
打席が回ってくるたびにファンがひと際大きな声援が迎えてくれた。“龍世コール”も沸き起こった。「あれはめちゃくちゃ嬉しかったですね」。新天地に懸ける28歳が救世主になる日も遠くない。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)