バウアー絶賛の右腕「間違いなくメジャー」 “MLB新人王”に例えた27歳は「他の投手と違う」

今井は9回2安打無失点完封、17三振奪い松坂大輔氏の球団記録を更新
■西武 3ー0 DeNA(17日・横浜)
サイ・ヤング賞投手が“いまメジャーに最も近いNPB日本人投手”について大いに語った。西武の今井達也投手は17日、敵地・横浜スタジアムで行われたDeNA戦に先発し、9回2安打無死四球無失点で完封。1試合17奪三振で2004年に松坂大輔氏が樹立した球団記録を更新し、今季6勝目(2敗)を挙げた。相手先発のトレバー・バウアー投手と高いレベルの投げ合いを演じ、ファンの胸を打った。
17日現在、今井は6勝、防御率1.17、104奪三振でパ・リーグ3部門トップ(勝利数は同僚の隅田知一郎投手ら3人とタイ)に立った。いまやNPBを代表する投手となった27歳の右腕と、レッズ時代の2020年にサイ・ヤング賞を獲得しているバウアーの投げ合いは、試合前から大いに注目されていた。
3回2死、バウアー自身が打席に入り空振り三振に倒れると、思わず苦笑いを浮かべ、ベンチへ戻りながら何度も今井に視線を投げていた。「とても素晴らしいスライダーで感動しました」。バウアーは試合後にそう説明している。
7回2死。今井は2回に左前打、5回に右翼線二塁打を許していた同い年の牧秀悟内野手を打席に迎え、フォークで空振り三振に仕留めると、バウアーのソードセレブレーション(刀を鞘に収めるような動きをするパフォーマンス)を少し控えめに、小さく真似して見せた。これを“本家”バウアーは「プリティ・グッ」(とてもよかったよ)と短く評した。この日の今井はストレートが最速で158キロを計測し、9回123球目のラストボールも157キロをマークしたほど最後まで衰えず。得意のスライダーも“切れ切れ”だった。
「ポール・スキーンズのような投手だ」昨季ナ・リーグ新人王になぞらえる
今井の方も、バウアーとの直接対決に感銘を受けていた。試合前から打席に立つことを楽しみにしていたが、3回と5回の打席でいずれも3球三振と一蹴され、「『(打つのは)無理や』とわかって、お陰で自分の投球に集中することができました」と笑った。試合後のヒーローインタビューでは、バウアーについて「僕もああいう素晴らしい投手を目指して頑張っていきたい」と敬意を表する一幕もあった。
バウアーも8回まで4安打1失点の力投。9回に1点を追加され、さらに1死満塁のピンチを背負ったところで降板したが、実力は十分に見せた。
試合後、「間違いなく、いつかメジャーでプレーできる投手だと思います」と今井を称賛。「彼には素晴らしいところはたくさんありますが、リリースポイントが低く、ストレートの軌道が他の投手と違う。制球も素晴らしい。ストレートにいくつか違う球速帯があって、緩急をつけることができる」と数え上げ、「ポール・スキーンズのような投手だと思いました」と、メジャーきっての若手成長株になぞらえた。
スキーンズはパイレーツに所属する23歳の右腕で、昨年メジャーデビューを果たすと、一気に11勝3敗、防御率1.96をマークし、ナ・リーグ新人王を獲得した。動画を見る限り、比較的低いリリースポイント、浮き上がるようなストレートの軌道に、今井と重なるところがありそうだ。来年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場する予定で、そこで今井との直接対決が見られる可能性もある。
いずれにせよ、今井の力量がメジャーレベルに達していることに、もはや疑う余地はなさそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)