開幕前プランが“崩壊”「ほとんどできていない」 専門家が分析した常勝軍団…現れた代役

交流戦Vの鷹、今後の行方を評論家が分析
ソフトバンクが6年ぶりにセ・パ交流戦優勝を果たした。12球団最多の9回目となった。昨季のパ・リーグ覇者は故障者続出で今季は開幕スタートダッシュに失敗。3、4月を9勝15敗2分けで、まさかの最下位で終えたが、徐々に調子を上げ、リーグ優勝争いでも首位・日本ハムへ3ゲーム差の3位に浮上(成績は22日現在、以下同)。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が鷹の今後を占う。
野口氏は「今季のソフトバンクは開幕前に描いてことがほとんどできないまま、ここまで来ました」と語る。主砲・柳田悠岐外野手は右脛骨骨挫傷で4月12日に早々と出場選手登録を抹消。昨季打率、出塁率リーグ2冠でMVPを獲得した近藤健介外野手は、腰の手術から5月27日に復帰したものの、今度は左かかとを痛めて最近5試合を欠場中だ。遊撃手としてゴールデン・グラブ賞5回の今宮健太内野手も、左脇腹を痛めて戦列を離れている。昨季本塁打・打点2冠の山川穂高内野手は打率.204、9本塁打の不振で今月16日に出場選手登録を抹消された。
投手陣もしかりだ。守護神のロベルト・オスナ投手が防御率4.32の不振に加え、故障もあって今月19日に1軍を離脱。セットアッパーとして期待されていた左腕のダーウィンゾン・ヘルナンデス投手も5月22日以降2軍調整中である。「それでも交流戦で優勝したのですから、力がある証拠。まだまだ選手がいるのですよ」と野口氏は感心する。「柳町(達)、野村(勇)らがよく頑張っています」と称える。
柳町は現在、パ・リーグトップの打率.342をマーク。特に交流戦は全18試合にスタメン3番で出場し、12球団トップの打率.397。野村は今宮が出場選手登録を抹消された今月15日以降、遊撃手として7試合連続スタメンを務め、守っては今宮にも引けを取らない守備範囲の広さと軽快なフットワーク、打撃でも勝負強さを発揮している。
強力先発投手陣を誇る首位日本ハムらとの混戦が続く
「クローザーもオスナを失ったとはいえ、杉山(一樹)、藤井(皓哉)、松本裕樹の3人は誰が抑えをやっても務まるでしょう」と野口氏。「リーグ優勝争いでも絶対巻き返してくると思いますし、交流戦優勝は精神的なアドバンテージになるでしょう」と太鼓判を押す。
「あとは、打撃不振で2軍に落ちている山川次第。パ・リーグ同士の試合に戻れば、毎日DH制だけに、山川が復活しないと厳しい。逆に彼が復活すれば、最近4番を打っている中村晃をもっと下位で使えますし、不振の栗原も刺激を受けて打ち出す可能性が高いと見ています」とリーグ連覇へのポイントを挙げた。
ライバルチームも一筋縄ではいかない。首位に立っている日本ハムは投手陣がリーグトップのチーム防御率2.33を誇り、特に先発陣は12球団断トツの14完投で、リーグトップの1.15を誇る北山亘基投手を筆頭にそろって防御率がいい。
野口氏は「これから暑い季節を迎えるにあたって、今まで通り行けるかどうかがポイント」としつつ、「パ・リーグは、気温が屋外と変わらないベルーナドームは別として、空調の効いたドーム球場をフランチャイズにしている球団が多く、日本ハムもその1つ。先発投手陣の負担は軽減されます。しかも日本ハムは先発ローテを8人くらいで回していて、秋を見据えて力を貯めている。こういうチームの強さは長続きします」と評価する。
2季ぶりの優勝を目指すオリックス、最下位に沈んだ昨季とは一変し打線につながりがあるい西武もチーム力が高い。強さを取り戻しつつあるソフトバンクを中心に、混戦が続きそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
