吉田輝星が明かす現在地「最短ペースできている」 思い描く術後の姿「球速が上がる」

吉田輝星が目標にする岩嵜、術後に最速157キロをマーク
オリックスの吉田輝星投手が、トミー・ジョン(TJ)手術からのリハビリを順調に進めている。術後3か月目から始めた球速計測で118キロを記録。同じ手術から復活し最速157キロを計測した岩嵜翔投手を目標としている。
「今のところ、最短のペースではきています。(手術した)肘の状態は気持ちよくはないのですが、傷んでいる痛みではないんです。疲れて張っているというか、筋肉痛の感覚に近いので。(回復に伴う)心地よい痛みですね」と吉田が声を弾ませた。
3月7日に右肘内側側副靭帯再建術(TJ手術)と鏡視下右肘頭骨棘切除術を受けてから4か月。6月に入ってネットピッチを始め、以後、約2週間に一度、ブルペンで球速を計測している。最初は85キロ~90キロだった球速は、95キロ~100キロに上がり、手術後4か月目には118キロをマークした。
「ブルペンと言っても、傾斜を使わず平らな所から投げています。出力がちゃんと上がっているかを把握するためにやっていて、約10キロずつ上がっている感じです」。球速を出すための投球ではなく、肘の回復具合を確認するための作業。「その時の全力で投げるというよりは、8割くらいで腕が振られている感覚で投げています。体が勝手に動いて、80%で投げていてもちょっとずつ球速が上がっていく感じです」と説明する。
キャッチボールの距離も伸びた。20メートルから10メートルずつ長くなり40メートルに。「50メートルの許可も(医師から)出ていますが、遠い距離は外旋(上腕骨を外側に回す動き)がすごく出るので、そこは慎重にいってます。距離が遠くなるほど出力は落としています」。一気に上げるのではなく、肘をいたわりながら、投げることでしか鍛えられない部分を細心の注意を払いながら鍛えている。
同じ大阪府内の病院で10日後に手術を受けた楽天・酒居知史投手とは、週2回、病院で3時間のリハビリを過ごす。「同じタイミングで話ができる酒居さんの存在は、僕にとって貴重なんです」と吉田と話す。
もう1人、目標にしていたのが岩嵜。同じ方法で手術し、最速157キロをマークした右腕だ。吉田が手術する前後は中日に在籍していたが、トレードでオリックスに移籍し、中継ぎとして存在感を発揮している。「まだお話はさせていただいていませんが、成功した方が身近にいるのは心強いですね」。
球速にこだわる理由もある。「僕の最速は152キロ。(ボールが浮き上がる)ホップ成分は高いのですが、その割に空振り率が低いんです。155キロくらいの真っすぐに変わってくれたら、高めのボールで空振りを取れます。球速が上がると聞いているので、それは楽しみです」。進化した姿を思い描き、手術から1年後の復帰を目指す。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)