サイン見逃し降格「今まではボヤッと」 背水の巨人リチャード、劇的3ランの背景

阪神戦で同点3ランを放った巨人・リチャード【写真:加治屋友輝】
阪神戦で同点3ランを放った巨人・リチャード【写真:加治屋友輝】

リチャードは5月18日以来の3号3ランで勝利に貢献した

■巨人 6ー5 阪神(21日・東京ドーム)

 巨人・リチャード内野手が21日、東京ドームで行われた阪神戦に「7番・三塁」で出場すると7回に同点3ランを放ち、チームの9回サヨナラ勝利に貢献した。6月にサイン見逃しで2軍へ降格。1軍復帰後初スタメンで放ったアーチには1軍復帰初スタメンで放ったアーチに込められた胸中を明かした。

「最初に点を取られたけど、空気だけは悪くしちゃいけないって、さすがに僕でもわかるんで」

 先発左腕の井上が“伏兵”の小幡に2本塁打を浴びて3回までに3失点。5回には大山に2ランを浴び、5回を自己ワーストの10安打、5失点で降板した。「井上君が3点を取られて、それが5点になって寂しそうにしてるのも見ていた。3点のときは『みんなが本気出せばいけるよ』みたいな声を出した。5点になっても『いける』って。そう言っている分、自分もやらないといけない」。劣勢のなかでベンチを盛り上げ、先発出場の自分も鼓舞していた。

 0-5で迎えた7回だった。3者連続安打と相手の失策で2点を返してなおも1死一、三塁。「ゲッツーだけは打ちたくなかった。バットを長く持ったら先っぽで引っ掛けてのゴロが怖かったので」と短く持って無心で振り抜いた。豪快な放物線は左中間スタンドへ吸い込まれ「めっちゃ嬉しかった」。自然とガッツポーズが飛び出した。

 6月12日のソフトバンク戦でサイン見逃しのミスを犯し、翌13日に2軍降格となった。今月8日に1軍に復帰し、この日が再昇格後の初スタメンだった。「打席でサインが出るんじゃないかって、1回1回切り離してサインを見ていました。この作業も良かったなと思って。今まではボヤッと見ていたので、切り替えることができていた」。

 本塁打を放った第3打席では2ボールからの3球目で左つま先に自打球が直撃した。もんどりうって倒れ「当たった瞬間は折れたと思った」。しかし、しばらくして立ち上がると、2-2からの低めの変化球をスタンドに運んだ。「サッと痛みがなくなって大丈夫になりました。今は全然痛くないです。アドレナリンですね」と笑った。

 秋広優人内野手との交換トレードでソフトバンクから加入。怪我で離脱している岡本和真内野手の穴を埋める右の大砲として期待がかかる。打率.118、3本塁打、7打点と、まだまだ荒削り感は否めない。しかし、“未完”だからこそ26歳の覚醒にファンは魅力を感じ、期待を寄せている。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY