退団の三嶋一輝が期待するDeNA若手3人 「もっと伸びそう」「ずっと一生懸命」

DeNAから戦力外となった三嶋一輝【写真:町田利衣】
DeNAから戦力外となった三嶋一輝【写真:町田利衣】

若松は投手歴3年でプロ入り、今季は1軍デビューも7試合で防御率7.88

 DeNAを今季限りで戦力外となった三嶋一輝投手。引退試合の“打診”もあった中、現役続行を目指して退団の道を選んだ。イースタン・リーグでの最終登板後には多くの後輩が涙を流すなど、チームの良き兄貴分だった。そんな35歳が、来季期待する後輩3人を教えてくれた。

「結構当たるんですよ、僕の勘」。そう言ってニヤリと笑った右腕が最初に挙げたのは、若松尚輝投手の名前だった。「もっと伸びそうだなって感じがします、キッカケさえ掴めば。もちろん練習すればの話ですけど、投手歴が浅いので154、5キロまで出るんじゃないかな。伸びしろがほかの投手に比べてすごくあるんじゃないかと個人的には思いました」と説明した。

 四国ILplus・高知から2024年ドラフト4位で入団した25歳右腕は、大学3年秋に投手に転向してわずか3年でプロになった“逸材”だ。ルーキーイヤーは7月に1軍デビューするも7試合で防御率7.88に沈み、わずか1か月で降格。それでも持っている能力を活かせれば来季以降楽しみな存在になるだろう。

 続いて「篠木はもっとできると思う」と、法大の後輩にもあたる篠木健太郎投手を指名した。2024年ドラフト2位で入団し、開幕1軍を掴むもわずか2試合で2軍落ち。シーズン最後に再昇格を果たすも結局はシーズン3試合で0勝1敗、防御率10.13、1ホールドに沈んだ。「負けもついてしまいましたけど、いろいろな経験をしてほしいなと。僕も本当にたくさんの経験をした。いろいろ味わってほしい。優しい子なので、彼。個人的な思いももちろんありますけどね」と温かい眼差しを向けた。

橋本は右肩手術での育成落ちを経て支配下復帰、1軍初マウンドを踏んだ

 最後に「個人的に頑張ってほしい」とエールを送ったのが、橋本達弥投手だった。長田高、慶大を経て2022年ドラフト5位で入団。2年目だった2024年に右肩の神経剥離術を受け、同年オフに育成契約となった。それでも復帰した今季2軍でアピールし、7月に支配下復帰。1軍では1試合の登板で防御率18.00に終わったが、3年目で念願のデビューにこぎつけた。

「橋本は勉強もしっかり頑張っていたタイプだから、個人的にそういうところもリスペクトしている。野球だけじゃなくて若いのに受け答えも対応もしっかりしているし、真面目に練習する子だから」と三嶋。自身が国指定難病の黄色靱帯骨化症で長いリハビリをしていたこともあり、苦しむ橋本の姿も近くで見ていた。

 それだけに「ずっと一生懸命やっているから、何とか投げられるようになったところで花咲いてほしいなっていうのはすごく思いますね。支配下で入って手術して育成になって、大学時代は難病(IgA腎症)にもなっている。いろいろな経験をしているから、個人的な思いはありますね」と言葉に力を込めた。

 三嶋が2012年ドラフト2位で入団してから13年。開幕投手も、敗戦処理も、守護神も……どんなときもベイスターズのユニホームで右腕を振り続けてきた。自身が抜け、後を託す後輩たちへ。発する言葉には熱い思いが込められていた。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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