オリ曽谷龍平、キャリアハイでも「不完全燃焼」 白星よりも…九里の助言で見つけた目標

後半戦で勝ち星を挙げられず不完全燃焼
オリックスの曽谷龍平投手が、来季は勝ち星にこだわらずイニング数を重視。クオリティスタート(QS、6回以上自責点3以下)のつもりでマウンドに上がる。
「勝ち星や防御率は、不運もあったりして自分でコントロールができないところがあります。来年はイニング数にこだわりたいと思っています」。曽谷が、11月中旬に開かれる「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vs韓国」への調整のため合流した「みやざきフェニックスリーグ」の会場で、早くも来季への意気込みを語った。
曽谷は、奈良県斑鳩町出身。明桜高(秋田)、白鴎大から2022年ドラフト1位でオリックスに入団。1年目から6試合に先発登板し初勝利を挙げ、2年目は打線の援護を欠いたものの7勝11敗、防御率2.34で先発ローテーションを守った。
3年目の今季は、スライダーを武器にキャリアハイの8勝(8敗)を挙げたものの、目標とした「13勝」には届かず、防御率(2.34から4.01)、イニング数(119回から114回1/3)は昨季より数字を落とした。
「不完全燃焼でした」と曽谷が振り返るのは、後半戦で勝ち星を挙げることができなかった点。「前半は、うまく思い通りにできました。これまでやってきたことが間違っていなかったと思いましたが、後半はコンディション不良もあってフォーム的にもズレてしまいました。なかなか修正できなかったのは、体力的なものもあるのかもしれません」と曽谷。
今季を振り返り、来季に気持ちを向けた曽谷がたどりついたのは、自分でコントロールすることが可能なイニング数だった「勝ち星は、頭の中で白紙にしてイニング数だけを考えようと思っています。大胆にいえば、6回3失点でもいいくらいの気持ちで臨もうかなと」
九里亜蓮投手からのアドバイスもあった。エスコンフィールドでの日本ハム戦で、クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ敗退が決まった日、「1番大事なことは、1年間を通してローテーションを守ることだよ」と声を掛けてくれた。
「どれだけ前半戦で調子がよくても、後半戦になっても状態を上げることは難しい。徐々に上げていくことを考えるより、一定に結果を残すのがよいこと」という内容の話に、曽谷は「6回3失点を、毎週続けることができたら十分なのかと思ったら、気持ちが楽になったんです」と明かす。「年間200イニング」を公言し、34歳の今季、25試合に登板し164回1/3を投げ抜いてチームトップの11勝を挙げた九里の言葉には説得力がある。
シーズンに予定される登板は約25試合。24試合に登板する仮定すると、気持ちに余裕を持って6回を投げれば計144イニングとなり、初めて規定投球回数(143イニング)を上回ることにもつながる。「先取点を与えず、7回以上は投げ切る」という意識の高さを“捨てる”ことで、マウンド上で新しい景色が見えてくると信じている。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)