西武・平良、WBCに「出場したい」 前回は辞退も…強いMLBへの思い、レイズ右腕を意識するワケ

Full-Countの取材に応じた西武・平良海馬【写真:岡部直樹】
Full-Countの取材に応じた西武・平良海馬【写真:岡部直樹】

今季54試合31セーブで最多セーブ獲得、防御率1.71と圧倒

 最速160キロを誇る剛腕で、今季パ・リーグの最多セーブのタイトルを獲得した西武・平良海馬投手。来年3月に迫る第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への思い、以前から球団に伝えているメジャーリーグへの憧れに、インタビューで迫った。

 平良は今季54試合に登板し、4勝2敗31セーブ、防御率1.71の圧倒的な成績を残した。日本球界を代表するクローザーと呼ぶにふさわしい働きだった。

 日本代表「侍ジャパン」が3大会ぶり3度目の優勝を果たした2023年の第5回WBCには、出場していない。前年の2022年には中継ぎで61試合34ホールド9セーブ、防御率1.56をマークし、最優秀中継ぎのタイトルを獲得していたから、メンバーに選ばれる“資格”は十分あった。しかし、同年オフの契約更改交渉の席で平良自身が球団に先発転向を直訴し受け入れられた。翌年2月のキャンプを配置転換のための調整にあてる必要があり、選考前から「仮に選出されても辞退」する意向を示していた。

「来年(2025年)も、また先発したい気持ちはあります」と明かす。最終的には西口文也監督ら首脳陣や球団との話し合い次第だが、前回WBCの時と同じ状況になる可能性はある。それでも今回は、「いろいろ調整しながら、なるべく出場したい気持ちがあります」と強調する。前哨戦として今年11月15、16日に行われる「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vs韓国」の出場メンバーにも選出されている。

 2021年の東京五輪に出場し金メダルを獲得したがWBCは未経験。「メジャーリーグのトップの選手が出てきて、レベルの高い大会になると思うので、自分も出てみたい気持ちがあります」というのが偽らざる本音だ。

 WBCへの思いの向こうには、メジャーリーグへの憧れもある。「凄い選手がみんな集まる、世界一のリーグだと思います。熱量もレベルも凄く高くて、なかなかたどり着けない場所。だからこそ魅力を感じます」と胸の内を明かす。

西武・平良海馬【写真:岡部直樹】
西武・平良海馬【写真:岡部直樹】

「東京五輪で100マイルをバンバン投げていた」同い年の右腕

 シーズン中、選手ロッカーにも流れているドジャース戦の中継、日本人選手が所属するカブス、パドレスの試合はもちろんチェックしているが、「個人的に注目している投手を、MLB.TV(メジャーリーグの公式配信サービス)で観ることもあります」とも。

 今、平良が特に意識しているメジャーリーガーは、レイズの右腕シェーン・バズ投手。同じ1999年生まれで、東京五輪に米国代表として出場し、ノックアウトステージ第1戦の日本戦に先発した。「オリンピック当時、100マイルをバンバン投げていて、同い年にこういう凄い投手がいるのかと驚かされてから、注目しています」と瞳を輝かせる。ちなみにバズは今季、メジャーで31試合に先発し、自身初の2桁勝利(10勝12敗)をマークした。

 平良は以前から「そこ(メジャー)を目指してやらないと、日本でも良い成績を出せない。高い所を目指して積み上げていくことが大事だと思います」と口にしていた。が、今は新たに「メジャーリーグの先も……その先もありますから」と付け加える。

 メジャーにとどまらず、もっと高いところに目標を設定しているということだろうか。明確に聞きたかったが、平良は「そこは具体的には言いません。自分の中にとどめてやっていくのが一番いいかなと思っています。ともかく、先を見ながらやることが大事だと思います」とかわし、いたずらっぽく笑った。

 2022年に最優秀中継ぎに輝き、翌2023年には先発投手として11勝、そして今季は最多セーブと、どのポジションでも抜群の成績を残し、潜在能力はまだまだ底が知れない。まずは来年の3月、侍ジャパンのユニホームを着て躍動する姿を見たいが、その視線が今どこを目指しているのかが、実に興味深い。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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