指名拒否の可能性も…佐々木麟太郎の獲得に自信 城島CBOが明かす“秘策”

城島健司CBOが岩手・花巻東高を訪れ父・洋氏に指名挨拶
ソフトバンクの城島健司CBO(チーフベースボールオフィサー)が28日、岩手県の花巻東高校を訪れ、同校硬式野球部監督で、23日のドラフト会議で1位指名した米スタンフォード大・佐々木麟太郎内野手の父でもある洋氏に挨拶を行った。米大学リーグで活躍中の佐々木を振り向かせる“秘策”はあるか──。
約40分間の面談を終えた城島CBOは、報道陣に対応。「お父様(洋氏)も麟太郎くんも、まさか1位で指名されるとは思っていなかったそうで、驚かれていました」と明かした。
日本でプレーしているアマチュア選手と違い、ソフトバンクと佐々木の正式な入団交渉開始は、スタンフォード大のシーズン全日程終了(来年5月もしくは6月)まで待たなければならない。ソフトバンクにとってはそれだけでも大きなリスクだが、佐々木は来年7月中旬のMLBドラフト会議で指名され、そちらに活躍の場を求める可能性もあれば、大学に残留する可能性もある。
それでも城島CBOは「僕から皆さん(報道陣)に言っておきたいのは、われわれは彼が(ソフトバンクかMLBの)どちらを選ぶかについて、彼自身の意見を尊重したいと思っているということです。ウチと縁があればウチで大活躍してほしいですし、アメリカを選んだ場合はアメリカで大活躍してほしい。“来てほしい”というメッセージはもちろん伝えていますが、彼の決断を見守っていきたいと思います」とフラットな姿勢を強調した。
その上で、城島CBOがソフトバンク側のアピールポイントとして挙げたのが「われわれは、王(貞治球団)会長がいるチームである」という点。今さら言うまでもなく、王会長は現役時代にメジャーリーグにも例がない通算868本塁打を記録し、佐々木は花巻東高時代に高校歴代最多と言われる通算140本塁打を量産した。破格の長距離砲は“世界のホームランキング”の下で育成されるのがふさわしいということか……。
「やはり野球の花形はホームランですよ。改めてそう思います。もし麟太郎くんとウチに縁があれば、(王)会長の寿命が10年伸びると思います。それくらい会長は指名できたことを喜んでいますし、期待をを寄せています」とジョークをまじえて力説した。

「日本でウチが一番、麟太郎くんがける球団」と自負する根拠
今オフ、ヤクルト・村上宗隆内野手、巨人・岡本和真内野手のメジャーへの流出が確実で、日本球界に長距離が渇望されている状況もある。
さらに城島CBOは「われわれの球団は、一芸に秀でた選手の能力を伸ばす指導方針の下でやっています。ダメなところをあげつらうのではなく、いいところを伸ばす。麟太郎くんには、ただ打撃を極めていってくれればいいと考えています」と強調。「日本でウチが一番、麟太郎くんが輝き、力を発揮できる球団ではないかと自負しています」とボルテージを上げた。
プレー以外の部分にも「僕はまだ直接会ったことがないけれど、彼を見てきたスカウトは人間性、野球に取り組む姿勢、人に対する姿勢を高く評価していて、ウチの球団のリーダー、核になれる選手ではないかと思っています」と言及。
11月上旬に城島CBO自身が渡米し、佐々木に会って直接挨拶を行うことも表明した。「ホークスがどういうチームで、(佐々木を)どう評価しているかを伝えるつもりです。その上で、来年の大学のシーズンを見守り、彼の判断を待とうと思います」とうなずく。
佐々木の最大の長所を伸ばす指導方針と、あくまで本人の人生設計を最優先する姿勢で、佐々木のハートを射貫くのだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)