日本一に貢献→侍J選出…鷹4年目野手が見せた“変化” 「.349」が示すアーチ増加のワケ

4年目の今季、キャリアハイの成績を残した野村勇
大学、社会人を経て2021年ドラフト4位でソフトバンクに入団した野村勇内野手。1年目から10本塁打、10盗塁を記録するも、翌年から2年続けて打率1割台と低迷。背水の陣で臨んだ今季は、自己最多の126試合に出場し、打率.271、12本塁打、18盗塁をマークした。飛躍の裏にどのような変化があったのか。データを用いて掘り下げていく(数字は全て2025年シーズン終了時点のもの)。
野村の魅力は思い切りの良いスイングから放たれる長打だ。外野フライがどのくらいの割合で本塁打になったかを示すHR/OFでは、今季のパ・リーグ野手の中で4位にランクイン。リーグ屈指のスラッガーたちに引けを取らない数値を記録している。
また、野村の打撃のアプローチ面に着目すると、今季は高めの投球に対するスイング率が上がっていることが分かった。一般的に高めへの投球は、打者にとって打球に角度をつけやすく、長打につながる確率が高い。昨季までと比べ、今季は63.1%とその割合が大幅アップ。長打になりやすい球への、積極的なスイングが見受けられた。
その結果、今季は高めの投球に対し打率.349とハイアベレージをマーク。高めの投球に対する打ち損じを減らし、より適切な角度で打球を飛ばせるようになれば、来季は本塁打数の増加が期待できる。
パワーとスピードを兼ね備えた貴重なユーティリティプレーヤー
打撃とともにユーティリティ性も野村の魅力だ。今季は遊撃手として72試合、二塁手と三塁手でいずれも13試合にスタメン出場。春先から主力選手の故障離脱が相次ぐなか、首脳陣のさまざまな起用に応える働きを見せた。
2010年以降のパ・リーグで、同一シーズンにこの3ポジションで10試合以上スタメン出場した選手は4人いるが、今季の野村はその中でも突出した成績を残したといえる。パワーとスピードを兼ね備え、内野の複数ポジションをこなせる選手は、非常に希少な存在だといえる。
阪神との日本シリーズ第5戦では決勝アーチを放ち、5年ぶり日本一の立役者となるなど、最後まで存在感を示した。15日、16日に行われる「ラグザス 侍ジャパンシリーズ 2025 日本 vs 韓国」では、野球日本代表「侍ジャパン」に初選出。大きな飛躍を果たした4年目のシーズンとなった。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)