中日に呼びかけた“改善” 最下位脱出も…拭えない後悔「余裕がなかった」

中日・藤嶋健人【写真:小林靖】
中日・藤嶋健人【写真:小林靖】

Aクラスまであとひと踏ん張りも、藤嶋の胸に残る後悔

 3年連続の最下位を脱した今季、中日の藤嶋健人投手は選手会長としてチームの内外を支えた存在だった。自己最多の60試合に登板し、同じく自己最多の23ホールド。リリーフ陣の柱として、苦しい場面で仲間を救った。しかし、充実感の裏に、どうしても拭えない“心残り”がある。

 今季、柳裕也投手から選手会長を譲り受けた27歳。シーズン前から選手たちの声を聞き、球団へ設備面の改善を働きかけた。バンテリンドームには新たに仮眠室が設けられ、水風呂の温度調整やバット乾燥機の導入など、多くの要望が実現した。「色々と言ってすぐに動いてもらえました。シーズン中でもリクエストに応えていただいて。凄く助かりました」と藤嶋は感謝する。

 中日は昨季まで、3年連続で最下位に甘んじてきたが、今季はAクラスを争えるほどの戦いぶりを見せた。しかし、クライマックスシリーズを狙えるあと一歩の時期に、勝利の流れをつかみきれなかった連敗が藤嶋にとって後悔を残した。

 特に9月、Aクラス争いの終盤で痛恨の連敗を喫した時期だ。普段から明るく声を出すキャラクターだが、自ら声をかけられなかったことを悔やむ。「負けが続いたときにプレーだけじゃなくて、みんなにもっと声をかけられたんじゃないかなと。ただ、自分のことも集中しないといけないので、そんな余裕が正直なかった」と率直に語った。

 頭にあったのは、昨年DeNAが日本一を掴む前に、選手が自ら集まってミーティングを開いたという話だ。「そういう事もできたらいいなと思ったんですが。選手がガッと集まって話すだけでも変わるかなとは思うので、そういうところができればよかったなと。選手が頑張らないといけない。だから選手主導で集まる時があってもいいのかなと思います」。

 選手会長でありながら、そのような場をつくれなかった自責が胸に残った。とはいえ、もう気持ちは切り替えて次に向け歩き出している。春季キャンプでは初日からブルペン入りを目指し、武器の直球の質を高めるつもりだ。「気温が下がるほど心は熱くなる」と笑う姿は、すでに来季を見据えている。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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