山下舜平大が抱く6年目の野望「0点なら負けはない」 秋に続く試行錯誤「正解はない」

オリックス・山下舜平大【写真:北野正樹】
オリックス・山下舜平大【写真:北野正樹】

山下が中日との練習試合に登板、岸田監督「楽しそうに投げていた」

 オリックスの山下舜平大投手が、笑顔で秋季キャンプを送っている。「充実してますよ。怪我なくオフに入れたのは3、4年ぶりです。来年1年間投げるための体力づくりと、暖かいうちは技術面をメインにやっています」と顔をほころばせた。

 山下は、福岡大大濠高から2020年ドラフト1位でオリックスに入団。2年間ファームで鍛えた後、3年目に開幕投手で1軍デビューを果たすと、9勝3敗、防御率1.61で新人王に輝いた。しかし、翌年は3勝(6敗)、今季も9月に戦列復帰し、わずか4試合登板で1勝にとどまった。

 成長曲線を妨げていたのは、成長に伴う腰痛などの故障だった。2022年は5月に戦列を離れ、日本シリーズではベンチ入りしたものの、11月に両足鏡視下三角骨摘出手術。2023年からは2年連続して腰椎分離症を抱えてオフを過ごした。今季も3月のオープン戦で再発し、長期間の離脱を余儀なくされた。その間、自分の体と向き合い、腰に負担がかからないような呼吸法やストレッチで体幹などを鍛えた。

 現在、腰に痛みはなく、キャンプ地のブルペンでもキレのいい球を投げ込んでいる。それでも「腰が痛くならないフォームや投げている感覚など、一番いい投げ方を探しながらやっています。投げながら『これ、違うな』とか、投げた次の日の反応をみたりしながらですね。正解がないので」と手探りの状態が続いていることを明かす。

 その一方で「手探りだけでは時間がもったいないので、現段階でこうじゃないか、と思うことを信じてやっていくしかない。それが違ったら、また(方法を)考えたらいいし、合っていると思ってやり続けます」と、ブレずに信じた道を進む覚悟を示した。

 キャンプ地で行われた中日との練習試合に先発し、2回34球を投げて、被安打1、2奪三振、1四球、無失点で今年の登板を終えた。10月11日のクライマックスシリーズファーストステージの日本ハム戦以来の実戦で、最速は154キロをマーク。秋季キャンプから投げ始めたカットボールも試投し「意図した球を投げることができて、打者の反応もよかった」と笑顔を見せる山下に、岸田護監督も「楽しそうに投げていましたね。ゲームで投げて(今年を)終われるというのは、来季につながってよかったと思います」と安堵の表情を浮かべた。

 山下は来季について「怪我で離脱せず、中6日でハイクオリティ・スタート(HQS)をやっていれば、規定(投球回数)には乗ると思います」と、先発投手として7イニング以上、自責点は2点以内を目指す。「防御率にはこだわりたいですね。0点に抑えたら負けはないですから」。プロ6年目は、シーズンを通して投げ抜く覚悟だ。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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