DeNAにトレード加入で「教えてもらいました」 去るFA戦士が回顧…8年間での“変化”

伊藤光は海外FA権を行使してDeNAから楽天に移籍する
DeNAから海外フリーエージェント(FA)権を行使して楽天移籍が決まった伊藤光捕手が19日、ブルーのネクタイにスーツ姿で横須賀市内の2軍施設を訪れ、チームメートや関係者に挨拶を行った。2018年途中にオリックスからトレードで加入。約7年半在籍したDeNAで、自身のスタイルに“変化”があった。
2007年高校生ドラフト3巡目で明徳義塾高からオリックスに入団。2013年から3年連続100試合以上に出場するなど正捕手としてチームを象徴する存在へと成長していた。「1球団で最後までやり遂げるプロ野球生活が幸せなんだろうと思って取り組んでいた」と明かすが、プロ11年目で中堅に差し掛かった2018年7月だった。突然のトレードを告げられ、DeNAのユニホームに袖を通すことになった。
新たな場所、新たなチームメート、新たな首脳陣……その“景色”は新鮮だった。「一生懸命やる中に楽しんでやるということを、退団された監督、コーチもそうですし、全員に教えていただきました。捕手というポジションで寡黙にやるのがスタイルかなと思っていたんですけど、純粋に感情を出して楽しんでいいんだと。毎試合迎える準備の仕方も、今日もやってやるという気持ちと、前向きになることばかりチーム全体でやっていたので、そこはすごくいい勉強になったというか、教えてもらいました」。
2023年には、電撃加入した元サイ・ヤング賞右腕トレバー・バウアー投手と多くバッテリーを組み、大きな信頼を寄せられた。「自分の投げる球、持っている球種とか自分の特徴に対してすごく自信を持っていて、それをしっかりプレーで表現する」と日本人投手との違いを挙げる。「僕の経験ですけど、日本の投手のスタイルは制球よく四隅をつく、ざっくりいうとそういう能力が高いほうがいいと。バウアーや他の外国人投手も含めて、自分の持っている球を自信を持ってどんどんストライクゾーンに投げ込むという、僕にとっては真逆くらいの発想でした」と学んだことは多かった。
そんな横浜の地で、早くも8シーズンが過ぎた。今季の1軍出場はわずか6試合と、多くの時間はファームにいた。それでも腐ることなく準備を続けただけでなく、未来溢れる若手、くすぶっている投手らに多くの経験を伝え、いい方向に導こうとしてきた。次なる活躍の場を決めた今、最後に伝えたいことがある。
「自分で考えて成長してほしいと思います。そこにプラスアルファで監督やコーチ、スタッフの方も含めてプラスになる要素をはめていくと思うので、考えることをやめないでほしいですね。僕は捕手なので、若手投手は『何でも従います、サイン通りに投げます』っていうのが多い。そうじゃなくて、自分がこれを投げたいとかこう抑えたいというのをもっと密にできればもっといいチームに……いや、俺移籍するんだよな(笑)」
徐々に熱を帯びた口調は、去りゆくDeNAに対する思いの表れだった。
(町田利衣 / Rie Machida)