巨人ローテ背負うも…決めた“異例”の参加 沖縄で漏らしたチームへの本音「迷惑かけた」

ジャパンウィンターリーグに参加する巨人・赤星優志【写真:木村竜也】
ジャパンウィンターリーグに参加する巨人・赤星優志【写真:木村竜也】

無念の離脱からつなげた覚悟「チームに迷惑をかけてしまった」

 まだ夏のような日差しが照りつける沖縄。プロ野球選手や独立リーガー、社会人たちが混在し、熱気渦巻く「ジャパンウィンターリーグ(JWL)」。そのマウンドには約2か月ぶりの登板となる、巨人・赤星優志投手の姿があった。本来であれば、自主トレや球団施設での調整も選べたであろう選手の“異例”の参戦。その理由には赤星の覚悟が隠されていた。

「無事に投げられてよかったです。ボール自体はそこまで良くなかったですが、投げられたことがよかった」

 久しぶりの実戦を終えても、表情を大きく崩すことはない。クールな口調で、淡々と自身の投球を振り返った。「7、8割で投げました。ここで10割でいって何かアクシデントがあってもダメなので」。シーズン直前ではない今、求めたのは結果ではなく、自身の体が問題なく機能するという確認。感情の起伏を見せることなく、冷静に現在地を見定めていた。

 今季は先発ローテーションの一角として期待されながらも、9月14日のDeNA戦で打者3人に対して12球を投げたところで降板。その後、離脱を余儀なくされた。疲労の蓄積で「普段と違う感覚」を抱く日もあったという。それでも毎週、万全の調整を続けてきたが体が限界を告げていた。

「自分としてはまだいけるという気持ちはありましたが……。CS(クライマックスシリーズ)への大事な試合。球速も出ていませんでしたし、結果も伴っていなかったので。チームに迷惑をかけてしまいました」

 チームがポストシーズンへと突き進む中での離脱。「CSも日本シリーズも可能性があったので、なんとか間に合えばという気持ちはありました」。悔しさに焦りを覚える瞬間もあった。ただ、「そこで焦ってまた怪我を繰り返すというのが一番ダメなこと」。そう自分に言い聞かせ、逸る気持ちを理性で抑え込み、治療に専念することを決断した。

 本来なら、シーズン終了後は来季へ向けて休養や自主トレに充てる期間だ。それでも赤星はJWLへの参加を選んだ。そこには、自分自身に対する“けじめ”のような思いがある。

「怪我で、マイナスな印象でシーズンを終えているので……。投げることで来年以降につながる部分はあると思う。フレッシュな姿を見せたい、自分の中でも良い印象で終わりたいという気持ちがありました」

 怪我という“バッドエンド”のまま2025年を迎えたくはない。この登板は、止まっていた時計の針を動かし、良いイメージで来季へ向かうためでもあった。「まずは怪我をしっかり治して、フレッシュな姿を皆さんにお見せすることができれば」。沖縄での再始動。涼しげな表情の奥には、万全の状態で迎える来春への静かな闘志が宿っていた。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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