パ新人王の気になるデータ「.037」「.343」 打棒の裏で…“最強”だった外野守備

積極打撃と二塁打量産が支えた新人王受賞
パ・リーグの新人王を獲得した西川史礁外野手が、2025年に示した特徴と成長の軌跡が明確となった。444打席で四球はわずか16。打率.281に対して出塁率.318と、積極的に打ちにいく姿勢が数値に如実に表れている。打率と出塁率の差を示すIsoDは.037、選球眼の指標BB/Kは.188で、規定打席到達者22人中21位と低い数値であったが、その姿勢が多くの打球をインプレーに導いた。
西川のBABIPは.343と一般的基準値の.300を大きく上回った。俊足や打球の質によって高くなりやすい指標であり、打撃スタイルとの相性が今季の成績を押し上げた可能性が高い。来季以降、この数値がどのように推移するかは注目点となる。
今季は3本塁打にとどまった一方で、27本の二塁打はリーグ最多だった。ひとつ先の塁を狙う積極性が際立ち、得点機を幾度も演出した。長打率.381はリーグ12位、OPS.699は同13位、ISOも.101で同13位と、長打力の面では規定打席到達者の中でちょうど中位に位置した。出塁率の向上と長打増加が今後の成長ポイントとなる。
序盤の苦難から大躍進へ 新人離れした適応力と攻守の存在感
オープン戦で打率.410と結果を残し開幕スタメンを勝ち取ったが、開幕3試合は打率.231、4月は.125、5月は.129と苦戦した。4、5月はいずれも一度ずつ2軍再調整を経験し、プロの壁に直面する形となった。
2軍では20試合で打率.422、出塁率.461、長打率.602、OPS1.063と圧倒的な成績を残し、6月の再昇格後に飛躍。月間打率.441、OPS1.107と打線を牽引する活躍を見せ、自身の実力を1軍の舞台で証明した。7月は打率.303、OPS.753、8月は打率.344、OPS.834と3か月連続で打率3割超え。OPSも3か月続けて.750超と生産性の大幅な向上を示した。
9月は打率.259、OPS.660とやや落としたものの、9日と11日に2試合連続本塁打を放つなど長打の兆しを見せた。最終2試合は6打数1安打にとどまったが、最終戦で規定打席に到達し、リーグ6位の打率.281で1年目を締めた。
守備でも存在感を放ち、外野手としてリーグトップの補殺9を記録。二塁打と補殺の両部門でリーグ1位という新人離れした成果を残した。ロッテの新人王受賞者は5人目で、小坂誠氏、久保康友投手、益田直也投手、石川歩投手ら長く一線で活躍した顔ぶれが並ぶ。西川も先達のようにチームの屋台骨を支える存在となれるか。攻守で高い能力を見せたルーキーの今後に注目が集まる。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)