西野真弘、11年目に感じた可能性「まだいける」 亡き父に感謝…明かした“不思議な力”

西野真弘がバットで示した存在感、35歳でキャリアハイを記録
オリックスの野手最年長となる35歳で、今シーズン、本塁打と打点でキャリアハイを達成した西野真弘内野手が、自身が秘めた可能性に自信を深めている。「まだまだいける、もっと上に行けるんじゃないかという、自分に対する期待が生まれた1年でした」。球団施設の舞洲で自主トレを行う西野が、口元を引き締めた。
西野は、東海大浦安高(千葉)、国際武道大、JR東日本から2014年ドラフト7位でオリックスに入団。バットコントロールや選球眼に優れた巧打者として2年目に全143試合に出場したが、故障に悩まされ4年目以降は出場機会が減っていた。しかし2024年には、規定打席には未到達も、89試合に出場し打率.300をマーク。11年目の今季は、75試合に出場し、230打数66安打、35打点、7本塁打、打率.287でAクラス入りに貢献した。
打席での粘り強さや勝負強さ、長打力も秘める西野の打撃を象徴する1年だった。安打の半数以上の打点と1年目の3本を大きく上回る本塁打。252打席で三振がわずか17というコンタクト率の高さ。目立ったチャンスでの強さについて、西野は「割り切りができたということでしょうか。こちらがチャンスだと相手はピンチなので、甘い球は来ません。しっかりと狙い球を絞って中途半端にならないようにしていました。飛んでくれたところがよかったというのもあるんじゃないでしょうか」と振り返る。
「本当に不思議な力じゃないですか」と語ったのは、7本を記録した本塁打数。過去10年間で通算9本だっただけに「これはもう分からないですね。そういう力をくれたとしか。そうじゃないとあり得ない数字です。僕は、そう思っています」と、6月に亡くなった父の“見えない力”ではないかと明かした。
「野球に興味を持たせてくれ、野球をやるきっかけを作ってくれた」と、西野は父に感謝する。兄とともに、父が投手として汗を流した高校に進学するほど慕った野球の“恩人”でもあった。
シーズン終了後、1歳年下の九里亜蓮投手からは「35歳でキャリアハイはすごい」と驚かれたという。「こういう歳になってきたら衰えとか言われますが、衰えを感じたくはありません。現状維持じゃなく、もっと野球が上手くなるんじゃないかと思います。1年、1年やらないと次がないというのはこの歳になったらありますし、余裕をぶっこいていたらできないと思います」と西野は語る。
「若手に負けられないという気持ちを持ち続け、もっと試合に出て、もっと打てるようになりたいと思っています」。165センチ、71キロの小さな体に大きな向上心を秘め、12年目のシーズンを見据える。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)