「日本は恵まれすぎ」 異国で気づいた“甘え”と衝撃…ヤクルト左腕に起きた変化

田口が現状維持で契約更改、来季が3年契約の3年目となる
ヤクルトの田口麗斗投手が12日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸1億7500万円(金額は推定)でサインした。来季が3年契約の3年目となる。交渉の席では球団に要望などを述べるケースが多いが「なしにしようと思って」と笑顔。その理由は、オフにウインターリーグに参戦したプエルトリコでの経験があった。
今季は36試合で1勝1敗11ホールド、防御率2.76。「昨年も今年も怪我で1年間フルで投げられなかった。情けないシーズンを送ってしまった」と、11月からプエルトリコのウインターリーグに参戦した。厳しい環境に身を置き、ハングリーさ全開の仲間たちと白球を追うことで、自身の価値観にも変化があった。
「正直、日本は恵まれすぎている。みんな甘えているなと思って。あの厳しい環境でやっていたらそういう気持ちもなくなりました。一番の違いは環境面。室内練習場がなくて打撃ゲージも1個か2個あるかないかくらい。守備練習もめっちゃ本気で、イニング間の一塁送球も全部強い球。日本には正直いないですね。それが衝撃で、僕は感銘を受けました」
“違い”はほかにも感じていた。「向こうは自分の得意なところは、過信はしないけど自信を持っている。日本人は自信があっても謙虚が一番と言われている。その姿を見たときに格好いいと思いましたし、自分の武器とかはもっと全面に出して自信を持ってマウンドでは表現していくべきだと思いました」と貴重なマインドを得た。
プエルトリコでは先発として6試合に登板。2021年以来のまっさらなマウンドに「すごくやりがいを感じた」と充実の時間を過ごした。一方で、2023年には守護神として33セーブを挙げた実績を持つ救援としての矜持も。林田哲哉球団社長には「55試合投げます」と宣言し、「もう一回抑えなのか、セットアッパーなのか、もう一度目指して強い意志を持って行きたい」。プエルトリコで購入した国旗がデザインされた腕時計をキラリと光らせ、力を込めた。
(町田利衣 / Rie Machida)