藤川球児を支えるポジティブなマインド 手術からの復帰を目指すクローザーの今とは?

暗くなる必要はない

 心が折れることはなかった。アリゾナ州にあるカブスのキャンプ施設でリハビリを行う藤川球児(33)は、どこまでも前向きだった。6月に通称トミー・ジョン手術と呼ばれる右肘の靱帯修復手術を受けてから約5か月が経過。通常、復帰まで約1年がかかると言われる長い道のりを、藤川は楽しんでいるようにさえ見える。なぜ、そこまでポジティブでいられるのだろうか。その言葉を聞いていると、クローザーという職業が天職であることがよく分かる。

「自分が自分のために復帰を目指して、(来季が)開幕して1か月ちょっとあたりで復帰できるというプランは実際にある。そのためにやっていくだけです。しかもオフになって、みんなが休んでいる間に自分だけトレーニングしているので、リハビリもしながらということで、そんなに差がない状態になると思います。暗くなる必要はないですよね」

 メジャー挑戦1年目の今年、セットアッパーとして迎えたはずの開幕戦で、クローザーのカルロス・マーモルが炎上すると、いきなり9回2死の場面からマウンドに上がり、わずか2球でメジャー初セーブを挙げた。マーモルはその後も乱調続きで、4月7日には球児のクローザー昇格が決定。5日後には自身が2点差を逆転されながら、直後に味方が再逆転し、幸運な形で初勝利も挙げた。

 しかし、肘の異常は、当初から感じていた。同13日に右前腕部の張りで故障者リスト(DL)入り。約1か月後に復帰して好投を続けたものの、7試合に登板してから、またしても異常を訴えた。再び、DL入り――。トミー・ジョン手術を受けることが球団から発表されたのは、その直後だった。

「(1度)復帰した後のことはものすごく経験になりました。色んなものを試して、そこから省いていって、こっちでどういうピッチング(スタイル)にしていこうか絞ろうかなぁという状態だったので。でも、その中でも肘にはずっと不安があった。いつか(靱帯が)切れるかなと思ってました」

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