セCS最終ステージ 阪神と巨人、両軍に所属した男がキーマンに挙げる1人の捕手

阪神のCS第1ステージ突破に貢献した藤井のリード

 クライマックス・シリーズが始まって以降、初めて伝統の一戦がポストシーズンで行われる。東京ドームの景色はオレンジと黄色に真っ二つに分かれるに違いない。

 プロ野球の歴史の中で、この伝統のある両チームでプレーしたことのある選手は少ない。

 今CSの出場選手では鶴岡一成捕手がいる。かつては小林繁や広澤克己ら、外国人ではダレル・メイやジョージ・アリアスといった選手がいた。1997年の阪神ドラフト1位で入団し、その後、楽天を経て、2012年から巨人でプレーした元捕手の中谷仁氏(35)もそのうちの1人である。

 中谷氏は阪神がCS第1ステージを勝ち上がったポイントを捕手目線で見ていた。「藤井選手のリード、力が大きかったと思いますね」とベテラン捕手の藤井彰人の名前を挙げた。

 藤井は今年、右足甲のケガと右肘痛のケガで2度の戦線離脱。終盤の9月23日に戻ってきた。それによりシーズンは新人の梅野や鶴岡らがマスクをかぶり、藤井の出場は34試合だけだった。

 それでも最も大事なCS第1ステージの初戦。メッセンジャーとバッテリーを組んだのは、藤井だった。和田監督はベテラン捕手の経験を買ったのだった。藤井は期待に応え、メッセンジャーを8回まで無失点。守護神の呉昇桓(オ・スンファン)を1イニング無失点と好リード。福留の放った本塁打の1点を守り切った。

 楽天時代も藤井と同僚だった中谷氏は同選手の捕手としての技術の高さを実感していた。

「バッテリーの呼吸が合っていました。藤井選手のリードの特徴は、ピッチャーに投げたいボールを投げさせて勝負すること。配球のリードだけではありません。ボールを取ったら、すぐに返球して、リズムを作る。無駄な動きがないので、ピッチャーとしては投げやすい。特に外国人はそうだと思います」

 同氏はそう解説する。

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