カブス優勝を108年間待った女性が優勝直後に逝去「私の仕事は終わったよ」

前回優勝1908年生まれ、ワールドシリーズ中に取材を受けて有名人に

 1908年以来108年ぶりのワールドシリーズ制覇を果たしたカブス。ようやく“ヤギの呪い”から解かれた古参球団の世界一達成は、各所でさまざまな反響を呼んでいるが、1人の女性の人生の最期を彩ることもできたようだ。地元紙「シカゴ・トリビューン」電子版が、カブス優勝を見届けた後で息を引き取った108歳の女性ファンの話を伝えている。

 シカゴ郊外のノースブルックに住むマーベル・ボールさんは、カブスが前回ワールドシリーズを制覇した1908年に生まれた。父の影響もあり、生まれながらのカブス・ファン。今年まで108年間、優勝を待ちわびていたという。ワールドシリーズ期間中には、最年長ファンとして地元紙や地元テレビ局の取材も受けたそうだが、優勝を見届けた後の8日(日本時間9日)、心臓発作が原因で逝去した。

 ボールさんの息子リッチさんは「なんだか悪い冗談みたいだけど、世界一を待って待って待ちわびた人が、達成された途端に『私の仕事は終わったよ。ここらで失礼しようかね』なんていなくなってしまった。笑っちゃいけないけど、笑っちゃいますよね」と話したという。

 カブス最年長ファンとしてメディアに取り上げられたボールさんは、人生最期の数日で知る人ぞ知る存在となった。心臓発作を起こした後、病床につく母に「母さん、ちょっとしたセレブリティになってるよ。新聞でもテレビでも、全米で取り上げられている。ベルリンに住む友人までニュースを見たって言ってたよ」と話しかけると、「そんなバカげたことが」と答えが返ってきたという。「これが母なんです。セレブリティなんて肩書きが必要ないくらい立派な人でした」と、リッチさんは亡き母を偲んだそうだ。

 普段はラジオで試合の実況放送を聞いていたというボールさんは、90歳の誕生祝いに最初で最後の球場での生観戦をしたそうだ。残念ながら、体調が思わしくなく、史上に残る熱戦となったワールドシリーズ第7戦、優勝パレードの様子を見届けることはできなかったというが、リッチさんは「母は少しこそばゆい思いがしたんじゃないかな」と話したという。

 カブスが優勝した年に生まれ、カブスが再び優勝した年にこの世を去ったボールさん。ファン冥利に尽きる人生の締めくくりだったのかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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