メジャー選手もぼやく田中将大の大型契約 新ポスティングシステムへの疑問の声は果たして妥当か?

田中の契約にぼやくメジャーリーガーの反応

 新ポスティングシステムのあり方は正しいのか否か。ヤンキースが7年1億5500万ドルという超大型契約で田中将大を獲得したことで、今オフから施行された新制度に対して疑問の声が上がっているが、1例だけを取り立てて是非を問うのは時期尚早だろう。

 前制度では、入札額が明らかにされないシークレットオークション方式で、最も高い入札額を提示した1球団だけが、ポスティングされた選手との交渉権を手に入れていた。だが、それでは特定の大きな予算を組める球団だけしか参加できない上に、得をするのは高額な落札金が手に入る日本球団(選手の前所属球団)だけ。ということで、新制度では、日本の球団が設定した譲渡金(最高2000万ドル)を支払う意思を表明した球団すべてが、当該選手と交渉に臨めることになった。譲渡金に上限が設けられたことで予算の少ない地方都市の球団にも獲得チャンスが生まれる、という触れ込みだったが、契約を結んだのは最高額を提示したヤンキース。結局は、以前と変わらない、という声が聞こえる。

 確かに、今回の田中の契約は大きい。大きすぎる、と言ってもいいだろう。常識的に考えて、いくら日本で24勝無敗という成績を残したとしても、メジャーでは1球も投げたことのない投手だ。その投手に対して、メジャー史上5番目に大きな契約が与えられるのは常軌を逸している。

 田中の契約が発表されるなり、ジェレミー・ガスリー(ロイヤルズ)が「円に換算したらスゴイことになるな」とツイートしたり、現段階ではまだフリーエージェント(FA)で移籍先が決まらないブロンソン・アローヨが「ダイスケ(松坂)みたいな例があるのに、すぐに忘れて、また新しい選手に大金を払う。同時に、自分みたいにコツコツ積み上げてきた選手の存在も忘れられるんだ」とボヤいてみたり。同じメジャーリーガーたちの反応もさまざまだ。

 だが、今回の契約が大きく膨れあがった背景には、自由市場経済の原理がある。商品(=選手)の価格が決まるのは、需要と供給のバランスだ。需要が多くて供給が少なければ、商品を手に入れるために、消費者は高額の代金を支払わなければならない。

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