ダルビッシュ有と田中将大はどっちが上!? ニューヨーク地元紙が特集
アスレチックス打撃コーチは「どちらもとてもいいピッチャー」
バンスライク氏以外に、2人のエースを比較しているのはアスレチックスの打撃コーチ、チリ・デービス氏だ。現役時代ヤンキースで2度ワールドシリーズを制覇した同氏は「2人を比較した場合、タナカの方がダルビッシュよりもストライクを投げるという部分で少しばかり恐れ知らず、と言える。ダルビッシュは彼の速球以外により頼る部分があるが、タナカはファストボールで押してくる。タナカはダルビッシュよりもファストボールを使ってくる。でも、どちらもとてもいいピッチャーだね」
ア・リーグ首位と好調のアスレチックス打線はダルビッシュの天敵としても知られている。アスレチックス戦ではメジャーで通算9試合に先発し、1勝7敗で防御率4・73と苦しんでいる。それだけに、同紙に語ったデービス氏の分析は実に興味深い。
記事では田中のヤンキース入団前のスカウトの評価を照らし合わせて、現在の2人の球種を比較。「田中はダルビッシュほどの速球を持っていないとスカウトに言われていたが、PITCHf/x(投球の速度や軌道を追跡するスピード測定器システム)によると、ダルビッシュのフォーシームは94マイル(約151キロ)。一方、田中は93マイル(約150キロ)で、ダルビッシュが少しだけ上回っている。田中の決め球であるスプリットは87マイル(約140キロ)で、ダルビッシュのスライダーは82マイル(約132キロ)。ダルビッシュはメジャー1年目の2012年以降、スプリットをあまり投げていない」と比較している。ダルビッシュのスプリットは93マイル(約150キロ)に達することもある驚異的なボールで、いとも簡単に打者から空振りを奪うが、確かに試合で使う割合は少ない。
そして、記事の中で最後に登場するのはマリナーズのロイド・マクレンドン監督だ。球速に関してはダルビッシュに軍配を上げながら、田中のコントロールを高く評価しているという。「私を感心させるのは彼の制球力だね。田中は(球威で)圧倒するわけではないのだが、全てのボールを思ったところに投げている」と話している。
この記事の筆者は、ニューヨーク・ポスト紙の名物記者であるジョージ・キング三世。ヤンキースを長年見続けている番記者だけに、ヤンキースで孤軍奮闘を続ける田中の評価がダルビッシュよりも高いという証言が多く集まったのかもしれない。ただ、この比較は日本人のエース2人がいかにメジャーでその実力を認知されているかという事実を証明している。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count