“4番”浅村栄斗は大阪桐蔭の先輩・中村剛也を超えられるか

広角に打てる技術と勝負強さ

 夏の甲子園1回戦の日田林工戦(大分)。誰もが緊張する初戦の第1打席で、浅村はプレーボールのサイレンが鳴りやまぬ前に、初球を打ち、センター前安打を放った。2回戦の金沢戦(石川)では、1点ビハインドの終盤8回の打席で初球をフルスイングし、起死回生の同点ホームランを記録している。そしてチームはその後、延長10回の末に勝利。勢いづいた大阪桐蔭は頂点に登り詰めた。

 この初球打ちの姿勢は今も変わらない。浅村が初球を打った時の打率は今季3割を超えている。入念な準備、データ分析、そして持って生まれたハートの強さがかみ合わないと残せない数字だ。

 プロの1番打者は味方にデータを伝える役回りもあり、相手投手の球をできるだけ見極めなくてはいけない。そのため、初球を打ちにいくのはそう簡単なことではない。また、初球がストライクと判定されれば劣勢となり、自分の打撃ができなくなる恐れもある。そんな制約のある1番打者を務める中で、一時は三冠王も狙える数字を残してきたのだから大したものだ。

 西武には浅村と同じように初球を「振れる選手」がいる。先輩の中村だ。浅村はおかわり君に続く、初球に強い選手だったのだ。中村も初球に打てる球が来たら、構わず打ちにいくタイプ。そのスタイルでホームランをかっ飛ばしてきた。

 浅村は飛距離で先輩の中村を超えることはできないが、広角に打てる技術や勝負強さで上回る可能性を秘めている。今シーズン、タイトルを取ることができれば、その能力はさらに飛躍していくことだろう。

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