伝説のクローザー、マリアーノ・リベラは現役最後のシーズンを飾れるか

リベラは本当に引退するのか?

 そして、その存在は、もはやヤンキースという1つのチームの枠に収まらないほど偉大なものとなっている。7月16日に行われたオールスターは地元ニューヨークとはいえ、敵地であるメッツの本拠地シティー・フィールドの開催。それでも、リベラが登場すると両チームの全選手がダッグアウトに引き上げた。スタンドのファン、そして、きら星のようなスター選手からの惜しみない拍手を、背番号42がマウンド上で独り占めにする光景は実に感動的だった。

 さらに、今季はアウェーの試合でも、熱烈な歓迎を受けてきた。リベラが投げるということは、相手チームは僅差で負けているということだが、マウンドに向かうだけで、敵地のスタジアムはスタンディングオベーションに包まれた。

 象徴的だったのは、9月9から同12日のオリオールズ戦だ。プレーオフ進出争いのまっただ中で行われた4連戦で守護神は3連投したが、すべての試合で盛大な拍手を浴びた。オリオールズにとって何が何でも勝たなければいけない試合だったにもかかわらず、だ。もはや、勝ち負けを超越した存在。ラストイヤーは、伝説のクローザーの成し遂げてきたことがいかに偉大であったかを証明する1年だった。

 9月3日。ヤンキースタジアムでのホワイトソックス戦で、キャリア9度目のシーズン40セーブに到達すると、試合後の監督会見でジョー・ジラルディに質問が飛んだ。

「リベラは本当に引退するのか?」

 確かに、メジャーでは引退を表明した選手が、それを撤回するケースは少なくない。だが、今年の11月で44歳を迎えるクローザーにその気はないようだ。同7日にはリベラ本人が、それまで起用法に細心の注意を払っていた首脳陣に対して「自分に気を使わないでほしい。どうせ今年で辞めるんだ」と直訴したという。

 ワールドシリーズでリベラが現役最後の1球を投げ、世界一に輝く瞬間を見たい――。そう思っているのは、おそらくヤンキースファンだけではないはずだ。伝説のクローザーにふさわしいラストは、果たして訪れるのだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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