ヤンキース・ジラルディ監督の続投が日本人選手に与える影響

来季もジラルディ監督が指揮を執ることが濃厚に

 日本人選手にも影響がありそうだ。今季限りで契約が切れるヤンキースのジョー・ジラルディ監督について、地元紙ニューヨーク・ポストはチームとの契約延長交渉が指揮官に有利に進むとの見方を示した。今季5年ぶりにプレーオフ進出を逃した名門球団だが、来季もジラルディ監督の元で再スタートを切ることになりそうだ。

 その理由は複数ある。まず今季はけが人が続出し、「最悪のロースター」で戦っていたということ。野手のレギュラークラスで1年を通して働き続けたのは、ロビンソン・カノ、イチローくらい。シーズン中には、スタメンのほぼ半分がマイナーリーガーになることもあった。監督の手腕に責任を押しつけるのは、あまりにも酷と言える。

 また、今季限りでマリアノ・リベラ、アンディ・ペティットという長年ヤンキースを支えてきた2人の偉大な投手が引退。さらに、カノがフリーエージェントとなり、アレックス・ロドリゲスは薬物規定違反で来季から出場停止となることが濃厚だ。チーム再建への課題は山積みで、まずは補強を進めることが最優先事項。新監督探しを含めて、他のことには手が回らないとされる。

 さらに、ジラルディ監督の故郷ピオリアと同じイリノイ州のシカゴに本拠を置き、選手として計7年も所属したカブスが、早ければ月曜日(30日)にもデール・スウェイム監督の解任を発表すると言われている。カブスは2006年にダスティー・ベーカー氏を解任した際に後任候補としてジラルディ氏と面接まで行っており、再び興味を示す可能性がある。その影響でヤンキースが契約延長を急ぐことになれば、ジラルディ監督には有利に働くだろう。

 同紙は、ヤンキースと指揮官の交渉にそれほど時間はかからないだろうとしている。家族がニューヨーク北部ウェストチェスターでの生活を気に入っていることもプラス材料だという。

 ただ、来季まで契約を残すイチローにとっては、決して朗報ではない。今年は出場機会が限定され、調子が上がらずに苦しいシーズンを送った。来季も同じような起用法ならば、不本意な状況が続く可能性がある。一方で、黒田博樹に対する信頼は非常に厚く、チーム残留に向けて大きな要素となるかもしれない。

 2008年にプレーオフ進出を逃したときには、翌年に世界一に上り詰めた。松井秀喜がワールドシリーズMVPに輝いた、あの2009年だ。ジラルディ監督の続投が決まった場合、果たしてその再現はあるのだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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