本格的に始まった、Aロッドとメジャーリーグ機構の『戦い』

「自分の人生と財産のために戦う」

 いよいよポストシーズンが開幕するメジャーリーグだが、この人だけは場外戦に突入した。8月に薬物規定違反による211試合の出場停止処分を受けながら、異議申し立てを行ってレギュラーシーズンに出場していたヤンキースのアレックス・ロドリゲスは、今季最終戦のアストロズ戦を終えると「さぁ、始めよう」と不敵に言い放った。米全国紙USAトゥデーは、本格的に始まるAロッドとメジャーリーグ機構(MLB)の“戦い”についての特集記事を組み、詳しく解説している。

 ニューヨークにあるMLBオフィスで行われるAロッドからのヒアリングは30日にスタートし、5日ほど続くと予想されている。MLB側はドーピング違反が過去3年間も続けられていたとしており、一連の騒動で薬物を選手に提供していたクリニックの創設者であるアンソニー・ボッシュが、Aロッドとの関係について証言するようだ。

 一方、Aロッド側は、この調査が「魔女狩り」以外の何ものでもなく、ヤンキースがMLBと共謀している可能性があることにも不満を訴えるという。ヤンキースは薬物違反を理由にAロッドを解雇すれば、契約の残るメジャーNO1の年俸を支払う必要がなくなるからだ。また、証言の信憑性が疑わしいボッシュに対して尋問する計画も浮上している。

 仲裁人のフレデリック・ホロウィッツは、ヒアリングから25日以内に決定を下すとされている。処分を軽減、もしくは覆す権利もあるという。ただ、これから始まるポストシーズンに影響が出ないように、処分が早く決まっても、発表は11月第1週まで持ち越される見込みだ。

 Aロッドは「自分の人生と財産のために戦う」と話している。異議申し立てが却下されれば、ヤンキースとの契約の残り分の3100万ドル(約30億5000万円)を失うだけでなく、2度と選手としてプレーできなくなる可能性もある。2015年まで出場できないとなると、年齢は40歳となり、パフォーマンスが落ちることが確実だからだ。現在、654本となっている通算本塁打でも、歴代1位のバリー・ボンズの762本を上回ることは、ほぼ不可能となる。

 一方で、ヤンキースはAロッドの異議申し立てが却下されれば、年俸を節約することができる。大規模な立て直しが必要な来季への補強費が確保され、いわゆる“ぜいたく税”と言われる選手の総年俸に対する課徴金も軽減できる。フリーエージェントとなるロビンソン・カノとの交渉にも、プラスに作用することは間違いない。

 ただ、同紙はAロッドが数年間に渡って薬物違反を犯していたとMLB側が主張しても、実際にはドーピング検査をパスし続けていたことを指摘。出場停止は科されるが、処分は約100ゲームに軽減されるだろうとしている。この予想は当たるのだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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