さよなら、高木竜。愛のない言葉が招いた中日の悲劇

トップが責任を取る覚悟を示すことができなかった

 巨人の独走や広島のクライマックス・シリーズ初進出は、2002年以降Aクラスをキープし続けてきた中日のチーム力低下も無関係ではないだろう。高木守道監督(72)にとって2年契約の最終年となった今季は、9月25日の広島戦で敗れた時点で実に12年ぶりとなるBクラスが確定。2007年の制度発足以降、クライマックスシリーズ(CS)出場を逃したことがなかったチームが、今年はシーズン最終戦を待たずに終戦を迎えてしまった。

 「やることなすことうまくいなかった。残念で無念だ」

 力のない高木監督の言葉が響いた。昨年は落合博満前監督の“遺産”で何とかリーグ2位の成績を収めたが、今年はそう簡単にはいかなかった。その無残な結果に関し、指揮官の手腕を問う声も少なくない。

 たとえば、高木監督はすべての部分で干渉するタイプの指導者だった。現役時代は二塁手だったが、投手についても遠慮なく意見を通した。田島慎二投手がいい例で、昨年、防御率1.15、5勝3敗30ホールドをマークした貴重な戦力を開幕から酷使。

 球団関係者は「打たれれば平然と注文をつけ、疲労が一番の要因にも関わらず、メディアの前で『ストライクが取れない』などと公言してました」と振り返る。そのようなコメントは選手の耳にもすぐに届くもの。それではチームの士気が低下してしまうのも無理はない。

 投手の継投を失敗すれば「今中(1軍投手コーチ)に聞け」、「今中と意見が合わなかった」などと投手コーチに責任転嫁するようなコメントが目立った。昨年は権藤博投手コーチ(1年で退団)とも言い争いが絶えなかった。本来ならば、コーチを守るのは監督の仕事であり、トップが責任を取る覚悟を示すからこそ、部下も思いきり仕事ができる。だが、高木体制ではそのような環境を築けなかった。

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