ポストシーズンの「投高打低」を生み出す要因に迫る

ミゲル・カブレラでも苦しむポストシーズン

 10月は投手が主役!? 米全国紙USAトゥデーは、今季のポストシーズンが「投高打低」で進んでいることについて特集を組んだ。実績のある投手だけでなく、ルーキーの快投も続いており、引き締まった試合が続いている。

 同紙は冒頭に、この現象を端的に表現したタイガースのトリー・ハンターの言葉を紹介。「毎日、いい投球がいい打撃を打ち破っている。ミゲルを除いてね」。昨季三冠王で今季も首位打者だったチームメートのミゲル・カブレラだけは別だと言いたいのだろうが、その“例外”のはずの強打者も7試合で打率2割5分9厘、2本塁打、4打点と苦しんでいる。

 タイガースは、10日に地区シリーズ第5戦でジャスティン・バーランダーがアスレチックスを7回2死までノーヒットに抑えた。12日のリーグ優勝決定シリーズ第1戦ではアニバル・サンチェスがレッドソックスを相手に6回無安打と快投し、救援陣も9回1死までノーヒットを継続。さらに、13日の第2戦ではマックス・シャーザーが6回2死まで無安打に抑えた。3試合連続で先発投手の快投が続く。バーランダーは、ポストシーズンに入って15イニングで1点も取られていない。

 カージナルスのルーキー右腕マイケル・ワカは、ポストシーズン14イニングでわずか6安打1失点。そして、ワカと12日のリーグ優勝決定戦第2戦で投げ合い、0―1で敗戦投手となったドジャースのエース左腕クレイトン・カーショーも、19イニングで自責は「1」だけだ。ハンターは「ポストシーズンでは先発1、2番手の投手が投げてくるので、時には打者が苦しむこともある」と話すが、12日に快投したチームメートのサンチェスは、バーランダー、シャーザーに続く3番手。今年は特に「投高打低」が顕著だ。

 両リーグの優勝決定シリーズが行われた12日には、ポストシーズンで初めて2試合とも1―0だった。4チーム合計でヒットは17本しか出ず、そのうち9本がタイガースと3チームの打線が苦しんだ。この記事に記されているのは、13日のレッドソックス―タイガースが行われる前のデータだが、ポストシーズン23試合でのべ5チームが完封され、9チームが1得点に抑えられた。さらに、のべ46チームのうち、実に半分以上の27チームが3得点以下に終わっているのだ。

 レギュラーシーズンの6か月を終えた後に訪れる戦いでは、5日に1度投げる先発投手よりも、毎日試合に出続ける野手の方がプレッシャーを受けるという。レッドソックスのジョニー・ゴームズは「(プレーオフでは)雰囲気、プレッシャーは遙かに大きい。スカウトのレポートは選手やチームの弱点を完璧に突いてくる。それにアジャストしないといけないんだ」と話す。

 レギュラーシーズンも最後の1か月になると、スカウトはポストシーズンに出てくるチームに的を絞り、分析を徹底的に行う。投手が成功するための鍵は、レポートに書かれていることをいかに実行できるかにかかっている。いい投手に弱点を徹底的に突かれたら、打者が苦しくなるのは当然。「投高打低」の流れを変えるのが困難であることは間違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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