CS最終ステージ敗退 広島が来季日本一にたどり着くには

広島が巨人に敗れた最大のポイント

 弱者が強者を倒すからスポーツは面白い。クライマックス・シリーズ(CS)最終ステージでも、シーズン3位のカープが王者ジャイアンツにどこまで食い下がれるかにファンの興味は注がれた。しかし、東京ドームに詰めかけた多くのカープファンの声援も空しく、広島は3連敗。

 その後10月19日に松田オーナーと会談し、続投が決まった野村謙二郎監督(47)は「今シーズンはCSに行けましたが、それより上にいこうということ」と来季のリベンジを誓った。

 なぜ広島は巨人に完敗してしまったのか。最大のポイントは勝てるチャンスがあった第1戦にある。2点をリードしながら、徐々に差を縮められて逆転を許したこの一戦が、その後の両チームの明暗を分けた。

 広島は2回、巨人のサード、村田修一のエラーにより2点を奪取。6回までに坂本勇人の本塁打などで同点に追いつかれたが、そこまではまだ勝ち目があった。問題は7回裏の巨人の攻撃だ。広島先発の大竹寛の後を引き継いだ横山竜士が四球とヒットで2死1、3塁とピンチを招いた場面。バッターは巨人の主砲、左打者の阿部慎之助。ここで広島ベンチは動かなかった。いや、動けなかった。

 もう1点も与えられない場面であり、本来ならば左投手を投入し、阿部を全力で封じにいきたいところ。だが、ベンチ入りの投手の中で左腕は久本祐一だけだった。勝ち越してからの起用も想定しなければならず、結局、野村監督は横山の続投を決断。直後、四球で満塁としてしまい、前の打席でヒットを打っている村田に決勝タイムリーを浴びた。球界関係者は「あそこで左をもってこれないのが苦しい」と指摘。続く高橋由伸の打席で久本を投入したものの、時すでに遅しで、広島にもう一人左投手がいれば、展開は変わっていたかもしれない。

 怪我や不調により、ベンチに一人しか左投手を置けなかった広島に対し、巨人は先発に内海哲也、杉内俊哉、リリーフに山口鉄也、青木高広、今村信貴の左腕5選手を用意。さらにベンチ外には高木京介もスタンバイさせていた。

 巨人に豊富な資金力があることは否めない。だが、広島は今季10勝以上の先発投手を4人擁しており、その数は巨人を上回る。投手王国になりつつあるカープならば、さらなる強化は期待できるはず。野村監督が目指す今季以上の成績、すなわち日本一にたどり着くには、左腕の補強と育成が急務と言える。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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