独自のメジャー挑戦で世界一 田澤純一の成長を支えたもの

アメリカにいながら“日本の経験”を学んだ

 斎藤、岡島と言えば、日本、そしてメジャーで確かな実績を残したリリーバー。2人からブルペンでの「ノウハウ」を学んだことが、現在の田澤を支える大きな要素となっていたのだ。

 さらに、今季からは上原浩治が加入。先発投手ではあるが、昨年までチームメートだった松坂大輔からも当然、多くのことを吸収している。自身は日本のプロ野球を経由していない。だが、その投球には先輩たちから受け継いだ“日本の経験”がしっかりと詰まっていた。

 ダルビッシュ有や涌井秀章と同じ1986年生まれの27歳。昨オフには「その2人は元からすごい選手なので、あまり僕の中では意識してない。少しでもそこに追いつけたらいいなという気持ちではいますけど」と謙遜していたが、田澤自身、日本でプレーしていれば、すでにスター選手の地位を確立していたかもしれない。ただ、今年はそれを一気に飛び越えて、メジャーで確固たる地位を築くことに成功したのだから、これ以上のない野球人生と言えるだろう。

 仮にプロ野球入りを選択していたら、社会人出身の田澤は、30歳まで海外FA権を取得できていなかったことになる。選んだ道は、確かに近道ではあったが、そこに本人の想像を絶する努力と、先輩たちから吸収した日本プロ野球のエッセンスが含まれていることは、忘れてはならない事実だ。どちらの道が正しいのか。田澤が示した1つの成功例が誰にでも当てはまるわけではないが、まばゆいばかりの希望の光となったことだけは間違いない。

redsox

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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