費用対効果は度外視? メジャーリーグ高年俸の実情

大型契約が続出する背景にあるものは?

 最大の問題は、契約があと4年も残っているということだ。ただ、同じような選手は続々と増えている。USAトゥデーの高額年俸ランキングでトップ10に入った選手のうち、9人が5年以上の契約となっている。20位以内で見ても、7年、8年といった選手はざらで、18人以上が5年以上の長期契約だ。

 その18人が契約を結んだ年を見てみると、12人以上が2010年以降となっている。08年に契約を延長したAロッドは、この走りとも言える。ただ、ヤンキースのような“金満球団”以外でも、10年以降からこのような大型契約がトレンドとなった背景には、ローカルテレビ局との巨額の放映権契約がある。いわば「バブル」の状態なのだ。

 10年オフに、レンジャーズが20年総額30億ドル(約2960億円)、エンゼルスが17年総額25億ドル(約2467億円)で地元テレビ局と放映権契約を結んだ。レンジャーズはダルビッシュ有へのポスティングで莫大な落札額を投入しながら、エイドリアン・ベルトレと11年から5年契約を交わし、エンゼルスもバーノン・ウェルズ、アルバート・プホルス、ジョシュ・ハミルトンらを次々と大型契約で獲得している。プホルス、ハミルトンは今季の上位10人には入っていないが、次第に年俸が上がっていく契約となっており、年平均でならすと、それぞれ2400万ドル(約23億6800万円)、2500万ドル(約24億6700万円)となっている。放映権収入がなければ、実現しなかった契約だ。

 さらに、昨年5月にオーナーがNBAでスター選手だったマジック・ジョンソンらの投資家グループに代わり、金満補強を続けているドジャースも、来年2月からタイム・ワーナー・グループと新たに契約を結ぶことが決まっている。その額は、なんと25年間で総額70億~80億ドル(約6908億~7895億円)。エンゼルス、ドジャースと比べても桁違いの額で、さらなる年俸の高騰化を招くことになりそうだ。

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