メジャーでマー君が陥る可能性が高い落とし穴とは? 日本人投手を苦しめる3つの要素

滑りやすいメジャー公式球への対応

 敵は打者だけではない。ポスティング・システム(入札制度)を利用してのメジャー挑戦が確実な楽天の田中将大(25)は、米国で活躍するために、多くの日本人投手が苦しんできた「違い」を乗り越えることが必要になってくる。その中でも、特に田中が陥りやすい落とし穴とは何だろうか。

 まずは、これまで日本人投手を苦しめてきた3大要素を挙げてみよう。

【1】ボール
【2】マウンド
【3】登板間隔

 滑ると言われるメジャー公式球は、おそらく田中にとって最大の不安要素となるだろう。特に、1年目は対応するまで時間がかかりそうだ。レンジャーズのダルビッシュ有は昨年、明らかにボールに苦しみ、コントロールを乱して自滅する試合が多かった。田中が同じパターンに陥る可能性が極めて高いことは、2009年、そして今年と2度のWBCを見ても明らかだ。

 今年の初めに、田中はWBCで使うメジャー公式球について「前回(2009年)も時間がかかったというか、最後まで苦労しましたからね。気候によっても全然、感触が違いますし。難しいけれど、対応していかないといけない。それが普通だと思ってやりたい」と話していた。しかし、いざ大会が始まると、課題を克服できなかった。

 力を入れるほど抑えが効かず、直球は荒れた。大会序盤はスライダーが曲がりすぎることがあり、勝負球に使えなかった。メジャースカウトの間で、ダルビッシュよりも勝っている部分として必ず挙げられるのがコントロール。これを失えば、田中の魅力は半減する。生命線のスプリットが操れていたことは救いだったが、何かしらの対応が必要になるだろう。

 ボールへの対応は最も厄介だ。野球選手からしてみれば、10年以上も当たり前に使っていたものが変わるのである。慣れるのに時間がかかるのは当然と言える。しかも、実際にメジャー公式球を見てみると、それぞれの作りが日本のように均等ではなく、バラバラであることが分かる。最近では、対応に苦労しなかった日本人投手は、田中の元チームメートの岩隈久志(マリナーズ)くらいではないだろうか。

 メジャー2年目の今季、マリナーズの先発2枚看板に上りつめた右腕は、MVP級の活躍を見せた2009年のWBCの時から、メジャー球との相性がいいことを明かしていた。「日本でもこのボールでやりたいくらいです」と話していたほどだ。制球が乱れることはなく、決め球のスプリットの落差はさらに大きくなった。これは例外とも言えるが、田中も岩隈にアドバイスを求めてもいいかもしれない。

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