マー君報道の舞台裏を探る メジャーのスクープはツイッターから?

取材中に“つぶやく”ことが仕事として認知されている

 2012年1月、FAでのメジャー挑戦を表明していた岩隈久志について、ヘイマン記者は「マリナーズと他のア・リーグ2チームが獲得に動いている」とつぶやいた。結果として岩隈がマリナーズに移籍したのは周知の事実だ。昨年4月に松井秀喜がレイズとマイナー契約に至ったときには、正式にサインを交わす数週間前にカリー記者が「レイズがヒデキ・マツイとサインするだろう」とつぶやき、これに日米のメディアが追随した。このように、彼らが信頼されているのは、情報が早く、なおかつ正確だからだ。

 一方で、それに負けじと地元紙の担当記者も投稿する。ダルビッシュ有がポスティングでのメジャー挑戦を決めた2011年11月には、ダラス・モーニング・ニュース紙のエバン・グラント記者が「レンジャーズが最高入札額を提示したと思われる」と投稿している。

 この“文化”が米国で浸透しているのは、日頃の取材態勢からもよく分かる。記者は、取材中でも携帯電話をのぞき込み、ツイッターのチェックを欠かさない。さらに、新しい情報があれば自らもすかさずつぶやく。監督の囲み取材の途中で興味深い話が出ると、目の前で携帯電話を取り出し、つぶやき始めることもあるほどだ。中には不快感を表す指揮官もいるが、大抵は何とも思わない。それだけ、記者の仕事の1つとして認知されていることなのだ。これも日本では考えられない事象だろう。

 仮にポスティング・システムが無事成立し、田中のメジャー挑戦が決まったとしよう。ダルビッシュの時のように、そこから先は、間違いなくツイッターでのニュース合戦になる。

「〇〇が入札したことが分かった」
「〇〇は〇〇万ドルを入札した」
「最高額で落札して交渉権を獲得したのは〇〇だ」
「田中が〇〇と総額〇〇万ドルで契約を結んだ」

 名物記者VS地元記者の争いに注目しながら、新たな情報を見つけてみるのも面白い。特に田中の話題で持ちきりとなっている今オフは、ツイッターから目が離せない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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