青天井の田中獲得資金でメジャー球団は破産危機?

資金潤沢な強豪球団にも不安材料

 MLB側による新ポスティング制度の合意拒否により、今オフのメジャー挑戦に暗雲が垂れ込めている楽天の田中将大投手(25)だが、米国ではこのたびエースの不本意な足踏みに追い打ちをかけるような報道があった。22日付ニューヨーク・ポスト紙において名物記者ジョージ・キングが、ポスティングで田中獲得に必要とされる巨額の費用がさらなる高騰により、新天地の経済状況を逼迫することになりかねない、という論陣を張ったことが、全米で波紋を呼んでいる。

 日本プロ野球機構とMLB側とのポスティング制度策定をめぐり、暗礁に乗り上げる前段階では、ヤンキースやドジャースなどが田中獲得に1億ドル(約100億円)とも言われるポスティング費用を捻出すると言われていた。ポスティング費用以外に総年俸6000万ドル(約60億円)の5年契約が必要とされているが、ア・リーグのスカウトは「(獲得費用は)正気沙汰ではない」と語ったという。

 更には記事では現在の移籍市場のインフレ傾向が田中資金をつり上げる危険性を指摘している。ロイヤルズはジェイソン・バルガス投手(30)と4年契約、年俸総額3200万ドル(約32億円)で契約。来年2月に31歳となる左腕は血栓除去手術の影響で9勝8敗、防御率4・02という不本意な成績に終わったはずだが、この数字に相応しくないほどの素晴らしい契約を手に入れることに成功した。

 リーグ関係者は、今季パ・リーグ全勝で楽天初の日本一に貢献した、今オフの米国ストーブリーグ最大の目玉である田中をポスティングで獲得する球団が、果たしてバルガスよりもわずか400万ドル(4億円)程度の年俸の上積みだけで済むのか、と不安視。さらにここにきて、バルガスの契約が田中の獲得資金を更に高騰させるだけでなく、他のFA選手に対しても条件面を有利にする効果があるのではないか、と懸念するチームも出てきているという。

 ア・リーグのある球団幹部は「バルガスの契約を見てしまうと、フィル・ヒューズすら複数年契約を手にするべき、という事態になりかねない」とコメント。ヤンキースで4勝14敗、防御率5・19と惨憺たる内容だった右腕を例に持ち出し、圧倒的な売り手市場となりつつある今年のマーケットに警戒感を高めている。

 まずはポスティング制度の成り行きを見守るしかないが、ここにきて田中の争奪戦は1億ドル超えというシナリオすら現実味を帯びてきた。金額は選手に対する評価だが、あまりに高騰しすぎると資金潤沢な強豪球団にとっても不安材料となりかねない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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